第332話 魔力0の大賢者、生徒会長に興味を持たれる

「やぁ。初めまして君がマゼルだね」

「はい。お初にお目にかかります。マゼル・ローランです」


 挨拶をされたので僕も返礼した。するとヘンリーが髪を掻き上げながら前に出て紹介してくれる。


「彼は学園の生徒会長【ロベール・オドニア・フラジリス】さ。マゼルに興味があるらしくてね。僕が案内を買って出たんだ」

「そうだったのですね。でも僕に興味ですか?」

「あぁ。君については入学試験の活躍ぶりから耳にしていた。しかも遊園地では暴走する魔獣を仲間たちと一緒に鎮圧して見せたというではないか。凄いよね君」

 

 そう言ってロベールが僕の肩に手を置いてきた。人好きのしそうな笑顔を見せた後、肩から手が離れた。


「いえ。本当に皆の協力があってこそだったので」

「ふむ。確かに君たちも大した活躍だったみたいだね。生徒会長として鼻が高いよ」

 

 ロベール生徒会長が皆にもねぎらいの言葉を掛けてくれた。下手なおべっかと違い真剣に僕たちの事を考えてくれてるんだろうなと思う。


「生徒会長にお褒めいただき光栄に思います」


 するとアイラが立ち上がり恭しく頭を下げた。それにならってアリエルも頭を下げる。


「私たちを評価していただき嬉しく思います。ただ今回一番活躍したのはやはりマゼル様だと思います。マゼル様のお力はあのゼロの大賢者の再来と言われるに相応しいものでした」


 その時、僕たちの会話に参加してきたのはイスナだった。クイスと一緒に食堂に来ていたんだね。ただお礼を言うと同時に何故か僕も持ち上げられたよ!?


「君はエルフィン女王国の留学生だったね。フフッ、高貴なエルフにここまで言わせるとは君は本当に凄いよ」

「いや僕は本当に大したことは……」

「謙遜はなさらずマゼル様」

「うん! マゼル凄い! ビロスはマゼル大好き!」

「だからすぐにくっつかない!」

「ありえません!」


 急にビロスが僕に抱きついてきたよ! アイラとアリエルがすぐに掴んで離したけどね。


「ところでオドニアということは、もしかしてオドニア王国の王族ですか?」


 ふと、アリエルがロベールに対して問いかけた。確かにロベール会長もヘンリーやアリエルのようにミドルネームがついている。これは王族に多いことだ。


「……流石ヘンリーの妹君だ。察しがいいね」

「はは、それは勿論さ。なにせこの僕の妹だからね。とても優秀なのさラララ~♪」


 ヘンリーが鼻歌交じりに答えていたよ。ヘンリーはいつも明るいよね。


「お兄様は相変わらずですね。ただ――オドニア王国に王子は確か……」


 アリエルが小首をかしげつつ口にするとヘンリーの手がその口を塞いだよ。う~んでも今のは特におかしくないかな。


「なんでもいいけどよ。そこまで評価するなら反省文なんて書かせるなよな」

「アズール流石に生徒会長に向かって失礼よ」

「んなこといったってよ」


 話を聞いていたアズールが愚痴をこぼした。それをメドーサが窘めていたよ。


「その気持ちもわかる。ただ今回は良かったかもしれないが、君たちの行為には危険が伴っていたのも事実だ。そこはしっかり胸に刻んで欲しい」


 そう言ってロベールが厳しい視線を向けた。やはり生徒会長として指摘も忘れないんだね。


「ロベール生徒会長。私たちも自分たちの行動には反省すべき点もあると思っております。ただ、何故Zクラスだけで私たちにはお咎めなしなのか、それがどうしても納得いきません」


 ここで声を上げたのはアイラだった。このことは理事長室でもメドーサが言っていたっけ。一応そこで一旦は決着がついたのだけどアイラとしても納得いってないようなんだよね。ただ生徒会長がどう思うか――

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