第331話 魔力0の大賢者に近づく何者かの影?
「私はマスターの元へ向かいますので」
僕たちは理事長室を出て食堂に向かうことにしたんだけど、メイリアは別行動するようだ。
「えぇ? メイちゃんも一緒にいかないの?」
そんなメイリアにリミットが問いかけた、けど呼び方に変化が出たね。
「私はお昼を必要としませんとお答え……メイちゃん?」
「メイリアだからメイちゃん。可愛いよね?」
リミットがニコニコとした笑顔で答えたよ。メイリアの眉が狭まる。
「そういう呼び方はちょっと、とお答え……」
「えぇ? なんでぇ? メイちゃん駄目ぇ?」
否定しようとしたメイリアだけどリミットがグイグイいってるね。気のせいかメイリアも弱ってるように見えるよ。
「……とにかく行きます」
「う~ん仕方ないね。また後でねメイちゃん」
スタスタと立ち去るメイリアにリミットが手をブンブン振って見送っていた。リミット相手だとメイリアもたじたじなようだね。リミットのコミュ力は凄いと思うよ。
「はぁもうお腹ぺっこぺっこだよ~!」
メイリアと一旦別れ食堂に来るとリミットがお腹を押さえながら叫んだ。あまりに声が大きかったからかお昼を食べている他の生徒に注目されてしまったよ。
「嫌だ何あれ?」
「ほら。Zクラスの生徒よ」
「どうりで下品なわけだぜ」
「てかなんでZの奴らが本校舎来てんだよ」
「見てるだけで昼飯が不味くなるぜ」
ヒソヒソしてる中には僕たちを悪く言っている生徒も少なくない。Zクラスというレッテルを貼られるというのはこういうことなんだと実感させられる。
「チッ、くだらねぇ。陰でこそこそしてないで言いたいことがあるならハッキリ言えってんだよ!」
「まぁまぁ」
声を荒らげたのはアズールだった。陰口に気がついていたようだね。そんなアズールをドクトルが宥めているよ。
「マゼル」
そんな僕たちに声を掛けてきたのはアイラだった。後ろにはモブマンやネガメ、ビロスとアリエルの姿もあったよ。
「理事長に呼ばれたって聞いた。マゼルも皆も大丈夫?」
「あぁ、うん。問題ないよ」
なんと答えてよいかちょっと迷ったけど、とりあえず厳重注意で済んだわけだから無難に返しておいたよ。
「ま、反省文を書くのは面倒だけどな」
「え? そんなことさせられるのですか?」
「何だよそれ。俺ら特に何も言われてないぜ」
「とてもありえません!」
「ちゅ~!」
アズールの口から反省文と聞いて皆が疑問を抱いたようだ。最初に声を掛けてきたアイラもどこか申し訳無さそうな顔をしている。
「……私たちはお咎めなしだったのに納得いかない。マゼルたちが反省文を書くなら私たちも書く」
「おう! 俺も同意見だぜ一万枚で百万枚でも書いてやらぁ!」
「僕もこの眼鏡に賭けて書き上げて見せますよ」
アイラの言葉に反応して何だかモブマンとネガメも熱くなってるよ!
「ありえるわね! 私も皆と反省文を書くわ!」
「ちゅ~!」
「ビロスも! ところで反省文って何?」
何だか皆がヒートアップしているよ。このままじゃそのまま理事長室に乗り込みかねない。
「落ち着いて! 皆の気持ちは嬉しいけど、だ、大丈夫だから」
とにかくなんとか皆を宥めた。
「なんやけったいな話になってたんやなぁ」
そんな僕たちに別な生徒が話しかけてきた。この子は遊園地で知り合ったリアだね。
「それにしてもや。うちも特に何も言われへんかったで。一体どういうことやったんやろうなぁ?」
「あぁ、それについては僕の責任もあるからクラスの皆には申し訳なくもあるんだけどね」
「マゼルが責任を感じることじゃない。寧ろマゼルのおかげで遊園地側から感謝されたと思うぞ」
リアに答えるとガロンが僕をフォローしてくれた。そう言ってもらえると少しは気が楽でもあるけどね。
「おい、見たかよ」
「あぁ見た見た! 生徒会長が来てるよな!」
「嘘! 生徒会長様が!」
僕たちが話しているとまた周囲がざわめき出した。聞こえた声からするに学園の生徒会長が食堂に来ているらしいけど――あれ? いつの間にか人だかりが出来てるなと思ったらそれが割れるように左右にわかれた。
「悪いけど会長はこの先に用事があるんだ。少しどいてくれるかな?」
そして同時に聞こえてきた声は、ヘンリー? そして僕に向かってくる影があったのだけど――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます