第315話 ラーサとアイラたちの活躍
sideラーサ
お兄様からの念話を受け、私たちは動物園で暴れ出した魔獣の対処に乗り出しました。
動物園には数多くの人がいて魔獣の登場でパニック状態に陥ってます。
「ハニーボール!」
ビロスの声が聞こえてきました。ビロスの手からは大きな蜜玉が飛ばされ魔獣を包み込みます。
あれは蜜そのものでダメージを与えるというよりもベタベタした蜜で相手の動きを封じることが目的のようですね。
その上でビロスが接近し密かに出しておいた針を刺して魔獣の意識を刈り取っていました。
蜂の姿を安易に晒さないのはアイラがしっかり教え込んだからみたいです。もし元々は蜂の魔物であったと知られると学園にいられないかもしれないと言われたのが利いたようです。
ビロスはお兄様が射るからこそ学園に通うのを決めたようですからね。私としては複雑なのですが……ただビロスはやはり強い。アイラと同じAクラスというだけありますね。
「ラーサ。今のうちに」
「は、はい!」
私の正面ではアイラの錬金魔法で閉じ込めらた魔獣の姿。金属の檻でとじこめられたのです。そこに私は雷の魔法を叩き込みます。
「雷魔法・サンダーストライク!」
雷が落ち檻の中にいた魔獣が悲鳴を上げました。そのまま完全に意識を失います。
「うん。これであとは檻の中に入れておけば大丈夫――」
「危ない! 天空の輝き、煌めく矛、その光で闇を穿て――ライトジャベリン!」
魔法を行使すると光り輝く矛が現出しアイラの頭上から迫っていた鳥型の魔獣の翼を貫きました。
片翼を失った魔獣はそのまま地面に墜落します。かと思えば地面から生えた蔦が魔獣を拘束しました。かと思えば蔦から花が咲き煙を撒き散らします。
これによって魔獣は眠りについたようですね。
「やったねグリン!」
「う、うむ……アンのおかげなのだよ」
アンとグリンの声が聞こえてきました。この様子だと二人が協力して魔獣を拘束し眠らせたようですね。
グリンとアンは魔法の相性が良さそうです。
「シルバそこだよ!」
「わ、わかってるさ!」
ブルックが指さした方には青いペンキにまみれた何かがいました。魔獣の中には周囲に擬態して姿をくらますタイプもいます。けれどブルックの魔法で青いペンキまみれになったことで位置がバレバレになりました。
ブルックは青魔法という特殊な魔法を扱うようですがその効果みたいです。そしてシルバが水銀魔法で生み出した鎖によって魔獣をがんじがらめにしてました。
「特別学区の生徒も流石にやるよね」
「俺らだって負けてられないぜ! ネガメ弱点はどこだ」
「その脇の下だよ」
「よっしゃ!」
ネガメの鑑定魔法は相手の弱点を知ることが出来ます。そこにモブマンが魔法で筋肉を増強させて攻撃しました。
いくら魔獣といえどこれにはひとたまりもないようです。それにしても流石に同郷で一緒に過ごしてきた二人だけにコンビネーションはバッチリですね。
勿論その強さはお兄様の教えがあったからこそ。お兄様はただ強く凛々しいだけではなく教えるのも超一流。流石私の愛しのお兄様は隙がありません!
「……ラーサ。ニヤニヤしてどうした?」
「え? あ、な、なんでもないですよ!」
「はい。こっちも治療終わり。これでもう大丈夫でしょう?」
「わ~い。お姉ちゃん妖精ちゃんありがとう~」
女の子にお礼言われ照れるフレデリカの姿が目に入りました。フレデリカは妖精召喚魔法によって使役した妖精でちょっとした回復魔法も行使出来ます。
それで怪我した人を治療していたのです。こうしてみると皆がそれぞれの特性を活かしたおかげで魔獣も制圧されていきました。
こっちは特に多くの魔獣が暴れているということで私たちも結果的に人数がお送りなりましたが結果的には良かったと思います。
「ラーサ。助かったありがとう」
「いえ。お役に立てて良かったです」
「ラーサは十分活躍していた。それにしても光魔法まで扱えるとは驚き。一体今何属性の魔法が使えるの?」
「えっと、風、火、土、雷、光で五属性かな?」
「それは凄い。凄い、けど……」
あれ? アイラから褒められて嬉しかったけど、何だろう? 何か考えているような――
「ウッホホォオォオォォォオオオオ!」
その時です。突然上空から奇妙な声が聞こえてきて上から振ってきたのです。これって巨大な、ゴリラ?
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