第305話 その時の園側の様子――

side ???

「え、園長! 大変です! 園内に突然魔獣が現れ暴れ回ってます!」

「えぇい! わかってるわ!」


 職員が私の部屋に息せき切ってやってきてもうとっくにわかりきっている報告をしてきた。


 くそ! だからってこの状況どう収集付ければいいというのか!


 全くまさかあの魔獣共が暴走するとは。一体何がどうなっってるのか――


「今すぐ学園に掛け合って魔導団を派遣してもらいましょう!」


 俺が頭を悩ませているとやってきた職員がそんな馬鹿げた提案をしてきやがった。


「だ、だまれ! そんなもの飼育員にでもなんとかさせておけ!」


 魔導団に任せるわけにはいかんのだ。とにかくこの場にいる連中に対処させないと不味いことになる。


「無理ですよ! あんな凶暴な魔獣どうみても専門外でしょう!」

「そこをなんとかするのが貴様らの仕事だろう!」

「無理です素直に魔導団を呼びましょうよ~」


 さっきからこいつは当たり前のことしか言わん。魔導団――確かに学園都市にはなにかトラブルが起きた際に動く組織がいる。国で言う騎士団みたいなものだ。


 だが! そんなものに頼れるわけがないのだ! そんなことになれば密かに行っていた横流しがバレてしまう!


「おい! オロスはどうした! あいつはどこだ!」

「え? オロスですか? 今日は見てませんが……」


 くそ! あのバカ何してんだ! 大体魔獣の件にしても元々はあいつから聞いた取引だった。どうやらどっかのボンボンから持ちかけられた話らしい。


 正直リスクは感じていたが実際魔獣はかなりの高値で売れた。元々闇取引はしていたが魔獣関連の値はこれまでの取引が霞むほどのものだった。


 ただ物が物だけにそうすぐにさばけるものじゃなく、条件に園内での飼育も入っていたからな。仕方ないからオロスに飼育を任せていた。


 だからこそ、この魔獣の暴走もあいつになんとかしてもらおうと思ったってのに……


「園長大変です!」

「うるせぇ! 大変なのはもうわかってんだよ! そんなくだらねぇことを言うために来たならぶっ殺すぞ!」

「ヒッ! ち、違うんです!」


 別な職員がまた慌ててやってきたからついイライラをぶつけちまった。だがどことなく様子がおかしい。


「何だ? 何か進展があったのか?」

「それが――園内で少年少女、雰囲気的におそらく魔法学園の生徒かと思うのですが、それが園内のお客の避難を手伝ってくれているようで――魔獣と戦っている生徒もいるぐらいなんです。しかし生徒にそういうことをさせるのは……流石に不味いですよね」


 職員の答えに俺は一瞬眉を顰めたが……これはチャンスと考えた。話を聞くにそれなりに腕のたつ連中のようだしな。それに子ども相手なら魔導団なんかが下手に動くよりは言いくるめやすい。


 それに――たとえそれで犠牲者が出たとしても生徒側が勝手に動いたせいだと責任をなすりつけることも出来るだろう。何だいい事ずくめではないか。


「よし、ここはそいつらに任せてみることにしよう」

「ですが相手は学園の生徒たちなんですよ!?」

「あぁ!? なんだぁ? 俺に口答えする気かぁ!」


 俺の言葉に職員は顔を青ざめさせ震えだしわかりましたと言って部屋から出ていった。

  

 ふん。最初から素直に従えばいいんだ。さてと後は学園の生徒とやらに任せてこっちは高みの見物と決め込むかな――

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