第261話 魔力0の大賢者、久々に感じる再会
学食に向かおうとした僕たちの前にどこかのクラスの生徒が近づいてきて煽りだした。
そんな彼らの態度にみんなが顔を顰めたり眉を顰めたりと不快に思っているのは確かだろうね。
「お前らみたいな廃棄処分の決まった連中が神聖な校舎に来てんじゃねぇよ」
「そうだそうだ。大人しく田舎に引っ込んでろ」
「うだつの上がらない冒険者として一生薬草採種でもしてろ」
そう言って僕たちを嘲笑う。最後のだけ妙に具体的に思えたけど、とにかく彼らの中では僕たちは学園をやめることになってるようだ。
「君たちがどう思っているかは知らないけどテストで皆が平均点以上取ったのは確かだし、ここには先生の許可も貰ってきてるんだ」
改めて彼らにそう説明した。それで納得するかはわからないけど。
「全くだ。そんなに疑うなら先生にでもなんでも聞いてこいよ」
面倒くさそうにアズールが言った。
「私はお腹が空いてるの! 邪魔するなら――ヤッてやる!」
「ちょ、リミット落ち着きなさいってば!」
「こんなところで魔法は駄目ですよ~」
リミットは随分と気が立ってるみたいで歯を剥き出しに何なら魔法の一つでも行使しそうな勢いだ。
メドーサとアニマが止めてくれているけどね。
「……マゼル。やっと会えた」
「やった~マゼル~♪」
「心配はしておりませんでしたが見事テストを乗り越えたのですね」
「マゼルと会えた! ありえるのです!」
「ちゅ~♪」
僕たちが退学されると決めつけている彼らとは別に、馴染みの声が耳に届いたよ。
「は? あの方はエルフィン国の姫様と付き人の?」
「間違いない両方ともSクラスの金バッジだぜ」
「それに銀色のバッジ……あの可愛い二人はAクラスかよ……」
「そっちの子はBクラスじゃん」
声を掛けてきた皆を見て僕たちに絡んできた生徒たちが口々に話しだした。
バッジの色――確かにそれぞれ色が違う。そうかこれが入学式で言っていたランクに繋がるんだ。
ということは彼らは茶色のバッジだから確かEクラスだね。
「マジかよ。なんでそんな高ランクの女の子がZクラスの無能と……」
「――黙れ。マゼルは私なんかよりずっと優秀」
「それは私にしても一緒です。Sクラスなどと言われてますが大賢者たるマゼル様と比べれば些末なことです」
不可解といった顔を見せるEクラスの生徒達。だけどアイラはちょっと怒りの含んだ声でイスナも一見落ち着いているけど笑顔がちょっと怖いです……。
「――貴様らも相手を見て物を言うことだな。そして大人しくこの場を立ち去ることだ。姫様が切れる前に」
「そもそもマゼルに喧嘩売るなんて俺じゃ考えられないな」
「無謀にも程がありますね」
クイスが彼らに睨みを効かせ忠告。モブマンとネガメは呆れてるようにも思える。
「くっ、くそ、お、覚えてろよ~!」
「お前ら本当にテストを生き残れたとしてもこれからは実戦で競い合うことだってあるんだからな!」
「その時に吠え面かかせてやる!」
結局彼らはそんなセリフを言い残して逃げていった。一体何だったんだろう。
でも、これからは彼らの言っていたような授業も始まっていくんだね。
「邪魔者は消えた。マゼル達これからお昼?」
Eクラスの生徒が去った後アイラに聞かれた。すると僕の横から柔らかい感触……。
「マゼル~お昼ビロスと一緒~♪」
「ちょビロスくっつきすぎ!」
いつの間に抱きついてきていたビロスに戸惑ってしまうよ~。
「姫様落ち着いてください!」
「ビロス離れて! 前も言ったよね」
「嫌だビロス、マゼルと一緒がいい~」
「こ、こんなのありえないですがお昼を一緒はありえます!」
「ちゅ~」
何か皆と合流して一気に賑やかになったよ。そしてビロスに納得してもらった後、クラスの皆にも一緒でいいか聞いたけど皆快諾してくれたね。
こうしてちょっとしたトラブルはあったけど改めて皆で食堂に向かった。
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