第256話 魔力0の大賢者、テストに向けた勉強を皆と頑張る

「おおマゼル戻ったのか」


 すでに授業は終わってる時間だったので寮の部屋に戻るとアズールが声を掛けてくれた。


「うん。ごめんね授業抜け出しちゃって」

「――ま、いいさ。どうせ自習みたいなものだしな」

「はは、そうだね。それにマゼルならちょっとぐらい抜け出してもすぐ取り戻せると思うしね」

「ふむ。ま、何か勉強について気になることがあったら聞いてくれればいい。もっとも俺から教えられることもないと思うが」


 一応出ることは話したけど僕の事情でやったことだしね。だけどそんな僕を責めることもなければ何があったか聞いてくることもなかった。


 それどころか抜けている間の勉強内容にも気を配ってくれてありがたい限りだよ。


「ありがとう。僕もちょっと復習して見るけどわからないことがあったら気持ちに甘えさせてもらうね」


 そう伝えた後、女の子たちにも謝罪しておかないとと思って部屋に向かったけど男子と同じく気にしてないといってくれた。


「それよりもお腹減っちゃったよ~」

「本当リミットは食いしん坊ね」


 リミットがお腹を押さえて空腹を訴えるとメドーサが苦笑して見せた。


 でも確かにそろそろいい時間かもね。


「夕食の準備をしようか」

「そうですね。今から準備をすれば丁度いいですし」

「ガウ」

「ピィ~」


 リミットの話を聞いて夕食の準備について触れるとアニマも話に加わってきてくれた。


 メーテルとシグマも賛成なようだね。


「やった! 夕食夕食~♪」

「全くリミットもしっかり手伝ってよ」


 歌うように喜ぶリミットにメドーサが言った。Zクラスの寮には食堂はないから自給自足でなんとかしないといけないんだよね。


「そういえばメイリアは今どこかな?」

「あ、そうだよ。メイリアもマゼルがいなくなってすぐにどこかに行ったみたいだけど……」

「私に何かごようですか? とお答えします」

「あ! メイリア!」


 思い出したようにリミットが口にするのとほぼ同時に後ろから声が掛かった。振り向くとメイリアが丁度こっちに向かってきていた。


「うん。メイリアにお礼を言わないといけないなって思ってたんだ。おかげで助かったよありがとうね」

「……何のお話でしょうか? 私はただ見たままを話しただけですとお答えします」

「うん。でも本当に助かったから」

「――それだけならば部屋に戻るとお答えします」


 僕の横を通り過ぎてメイリアが去っていってしまった。


 う~ん、一応お礼を伝えることは出来たけどね。


「あれってつまりマゼルがメイリアと二人っきりでどこかに行っていたってことよね?」

「そ、その、きっと理由があったんですよ」

「お腹減ったなぁ」

「ピィ~」

「ガル」


 何か女性陣が小さな声で何か話していたね。リミットはお腹を減らしてる真っ最中みたいだけど。


 とにかく、その後は皆で手分けして夕食の準備をした。


 そうやって皆で食べた夕食はやっぱり美味しいよね。


「これまた夕食を作ったから」

「……ありがと」


 シアンは皆と食事を取りたがらない。シアンと比較的仲良く接しているリミットも食事の誘いにはあまり乗ってくれないと言っていたんだよね。


 ただ持っていった食事には手を付けてくれてるみたいだからそういう意味では安心してはいるけどね。


 その後は先生にも食事を持っていった。面倒くさそうにしているけど受け取ってはくれたよ。


 その後はテストに向けて勉強をした――そうやってラーサの事件の後は皆で勉強を続けて過ごし、いよいよテストの日がやってきたんだ。

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