第249話 魔力0の大賢者、助けた皆と魔法学園都市に帰還する
「……随分と遅れていた筈なのに結局ほとんど予定通りについてしまったぞ……」
僕が先導して学園都市まで到着したのだけど御者のおじさんに随分と驚かれてしまった。
一応予定だと途中休憩も取る予定だったみたいだからそれが取れなかったのは悪いことしたかなと思ったけどね。
その代わり途中で脇にそれて村でパンとか飲み物を購入して即行で戻って渡してあげた。
一体いつの間にとか驚かれたけどね。
学園都市に付いてからは門に向かって門番と話すことになった。僕たちの素性を聞くなり慌ただしくなったあたり事件のことは知られていたんだね。
「まさか、君たちは特別学区に入学予定の生徒かい?」
「はい。そのとおりです」
門番に聞かれてラーサが答えていた。一応御者のおじさんが最初に話してはいたけど信じられないって顔だね。
「おかしいな……攫われたと聞いていたんだがデマだったのか?」
「馬鹿な。理事長直々に知らせが届いたのだぞ」
「攫われたというのは本当だ。ここにいる生徒に助けられたのだ」
御者のおじさんが僕の肩を叩きつつ門番の疑問に答えた。
「え? この子が?」
「しかも魔法学園の生徒だって?」
すると僕を見た門番が目を丸くして疑問顔を見せた。
「ただの生徒ではありません! 大賢者の再来と誉れ高いマゼルお兄様だからこそできた偉業なのです!」
「流石はあたしが惚れ込んだ主様だよねぇ」
「ちゅ~!」
すると怪訝そうにしている門番たちにラーサが強く訴えていた。アネも何かうんうん頷いてるし僕の肩ではファンファンがバンザイの格好をしている。
「まさかそんなことが……」
「信じられないのも無理ないが本当のことだ。私もこの子に助けて貰ったわけだしな」
動揺する兵士におじさんが伝える。そこから更に慌ただしくなっていき。
「とにかく今理事長に確認を取るから少し待っていてくれ」
そう言われて少し待つことになった。その後魔導具で理事長に連絡が行ったようで、すぐに門を通れる事となったよ。
そのまま僕たちは魔法学園にまで向かい、入口近くで先生たちが出迎えてくれた。そこにはイロリ先生の姿もあった。
「うぅ、ここでお別れだなんて……」
「仕方ないよ。ラーサたちには手続きとかもあるわけだしね」
魔法学園に戻ってからは僕は皆と別れることとなった。ラーサは残念がっていたけどこれは仕方ないね。
それに学園生活を続けられたらこれからまだ会えるだろうし。
それにしてもフレデリカからも色々聞かれてしまったね。途中からラーサが割って入ってたけど。
「――全く手間ばかり掛けさせられて面倒で仕方ない。いくぞ」
「あ、はい」
「ちゅ~」
イロリ先生に促されて後についていく。すると振り返ったイロリ先生がファンファンを見て眉を顰めた。
「そういえばその鼠はなんだ?」
「あ! いや、その……」
「……本校舎に白綿鼠を連れた生徒がいると聞いたが関係あるのか?」
一旦顔を正面に戻しつつ更に質問が来た。これはもう下手なごまかしは出来ないね。
「は、はい。飼い主のアリエルは友だちでファンファンとはその関係で懐いてくれていて」
「あぁわかったわかった。聞くとややこしくなりそうだから今はいい」
僕が答えると途中でイロリ先生が遮った。うんざりだといった顔を見せているけど、どことなく気を使ってくれたような気もする。
「……たく、ただでさえ理事長に呼ばれてこのまま一緒にいかないといけないんだからな」
続けてイロリ先生がため息交じりに言った。理事長……しかも僕も一緒ということはやっぱり今回の件が関係してるんだろうな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます