第217話 魔力0で最強の大賢者、師匠のファンの多さに驚く
「やぁ皆。新しく赴任したスーメリアが皆に会いに来たよ♪」
そう言いながら師匠がキラキラしたエフェクトを出す。精霊を利用した効果という奴だ。師匠がかつて自ら言ってたことだから他の人にその表現が通じるかわからないけどね。
「ししょ、いや先生がどうしてここに?」
とりあえず僕から師匠に尋ねた。いきなりと僕もちょっと驚きだよ。
「それは勿論皆の様子を見ておきたくてさ(キラッ☆)本校舎ならすぐに見れるけど何故か君たちはこんな離れに席を置かれてるしね~」
師匠がみんなに向けてウィンクしながら理由を語った。その後僕に向けてもウィンクを決めてくる。
師匠は本当派手なことが好きなんだよね。わざわざ名前を隠しているのに凄く目立ってるよ。
「あ、あの大ベストセラー作家のスーメリア先生がここまで来てくれるなんて……か、感激です! サインくだしゃい!」
アニマが師匠に近づいてサインをお願いしてるよ。顔も真っ赤だ。
「わ、私もお願いします! ご飯食べながらでも読んじゃうぐらい先生の作品が好きです!」
リミットまで師匠にサインをお願いしだしたよ。師匠の本そこまで売れてたんだ。僕全然知らなかったけど。
「いいよいいよ。マゼルと仲良くしてもらってるお礼にね♪」
「う~ん。しかしあの大先生までマゼルと知り合いだなんて驚きだよ」
「なぁ。あの人そんなに有名なのか?」
ドクトルに何か感心されてしまった。だけどアズールは師匠を知らなかったみたいだね。
「私も知らなかったわね。ただ派手な格好した教師がきたものねぐらいに思ってたし」
「やれやれ。あれだけのベストセラー作家を知らないのか? レベル0でも最強の魔法使いといったファンタジーは勿論、恋愛経験0の大賢者~その恋は魔法ではない物理です~といった恋愛系まで幅広いジャンルを取り扱う大先生だ」
ガロンが感慨深そうに語る。そして徐に一冊の本を取り出してサインをお願いしにいってたよ。
「あいつもファンだったのか……」
「――そ、そんなあの恋ゼロの作者様だったなんて……」
「えっと……」
アズールは意外そうに言ってたけどそれよりメドーサの様子まで……恋ゼロって恋愛経験0という作品の略称なのかな……
「恋ゼロの大ファンでした! 奇抜な格好した変わった先生なんて失礼なこと言ってごめんなさい! そしてサインください!」
結局メドーサまでファンだったの!
「お前……作品知ってたのに書いてた作家知らなかったのかよ――」
「う、うっさいわね。作者名チェックしてなかったのよ!」
「いや、本人目の前にしてそれは失礼じゃないか?」
キッとアズールを睨みつけて言い返すメドーサだったけど、ガロンからはしっかり指摘を受けているよ。
「ハッ! ち、違うんです! 本当に恋ゼロは好きで!」
「かまわないさ~作品を好きになってくれれば作者冥利に尽きるからねぇ。はいサイン」
「あ、ありがとうございます!」
メドーサが何度も頭を下げてお礼を言っていた。それにしても皆意外とそういう本とか持ってきてるもんなんだね。
う~ん、ところで――
「シアンはし、先生と話さなくても?」
「……別に」
僕はシアンの席に近づいて聞いてみた。答えを聞くと興味なさそうなんだけど実はさっきから師匠を気にする素振りを見せていたんだよね。
「フフッ、良かったら君にもサインするよ~」
師匠が近づいてきた。僕の意図を理解してくれたのかな。師匠鋭い人だから。
「シアンどうしたんだよ?」
「……べ、べべ、別に」
アズールが聞きシアンが答える。あ、動揺してるよ。
「も、もしかしてシアンも、その、先生のファン、だったり?」
アニマが聞くと、シアンがちょっともじもじしだした。
「……なら、この、包帯、に」
シアンが右腕を出して師匠を見た。だけどすぐに腕を引っ込める。
「……やっぱり、いい、です」
「ははっ、そんな遠慮なんていいさ~はいこれでどうかな(キラッ☆)」
師匠が包帯にサインするとシアンは腕に書かれた文字を見て、その後顔を俯かせる。
「……ありがとう、ございます」
細い声でシアンがお礼を言った。師匠がニコッと微笑み返す。
「ふふふっ、喜んで貰えたなら光栄だよ~」
シアンはそれ以上何もいわなかったけど確かに嬉しそうだね。良かった~。
「ところで君はどうかな?」
「興味ありませんとお答えします」
師匠はメイリアにも声を掛けたけどあっさり拒否されてしまってたね。
「そいつはゴーレムだし小説なんかに興味ないんだろう?」
「――著者スーメリア。『レベル0でも最強の魔法使い』『恋愛経験0の大賢者~その恋は魔法ではない物理です~』『犯人は魔王ではありません勇者です』『魔導国家沈没』etc.……などで知られるベストセラー作家。累計発行部数は全世界で五百億部を超え――」
アズールから指摘されると、メイリアが師匠に関する情報を大量に口にしだしたよ! でも、そんなに色々出してたんだ……
「フフッ、どうだいマゼル? 私のこと尊敬し直した~ ねぇねぇ? どうかな~」
「いや、どうかなと言われても……」
師匠がすごい人なのは知ってたけどね。
「以上です」
「す、凄いよメイリアさん!」
「そこまで知っててファンじゃないの?」
「――知識として知っているだけです。あくまでゴーレムとしてとお答えします」
皆に褒められるメイリアだけど、まだ感情の変化は少ない。これから皆でもっと仲良くやっていけるといいんだけどね――
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