ことばの魔法♪

空のかけら

第1話 ひまわり

「今年もひまわりが咲いたよ」


 ここは、観光農園。

 ひまわりだけではなく、様々な花やサツマイモなどが栽培されている。


 見るだけではなく、収穫もできるので、子どもにも大人にも人気スポットになっている。


 しかし、この観光農園がある資産家が持っていた個人庭園だったことを知るものは少ない。


 その資産家は、木材の売却で富をなした者だが、その価値が海外からの材木の輸入が本格化することで凋落してしまった。

 末期には、二束三文な材木を輸入材と偽ることもした。

 当然、偽り続けることはできずに、詐欺として逮捕されてしまい、家族もいなかったこともあり、庭園も寂れてしまった。

 

 その庭園を復活させ、ここまでの観光農園に拡大したのは、個人庭園時代に園庭として庭に出入りしていた造園業者の子ども。


 現在の観光庭園の社長である。


「しかし、ここの名所はなんと言っても“ひまわり”だ」

「確かに、ここまで多いひまわりを見られるのはここくらいね」

「ああ、そういう意味じゃない。私が言いたかったのは、このひまわりの種は、あの個人庭園にあったものを増やしてきた。正しい富が偽りの富として変わっても、ひまわりはそこにあったし、今の観光農園があるのはあの資産家のおかげ。だから、個人的には今も敬慕の念を持っている」

「…敬愛の念ではないの?」

「そうとも言う」

「まぁ、あなたからしたらそうでしょうね。お爺さまでしょ」


そう言うと夫は、満面に笑みを浮かべた。



***

ひまわり

花言葉:

いつわりの富、にせ金貨、崇拝、敬慕、あなたは素晴らしい、あなたを見つめる、光輝


学名:Halianthus annuus L.

   キク科ヒマワリ(ヘリアンサス)属の1年草

英名:コモン・サンフラワー

草丈:20cm~3m

花色:黄、オレンジ、茶色

開花時期:周年

最盛期:6~8月

原産国:北アメリカ

別名:

 日車(ひぐるま)、天竺葵(てんじくあおい)、ヘリアンサス

、日輪草(にちりんそう)、向日葵(漢字表記)

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