22/12/26 ヤバイ。今年が終わる。

「ちょっと奥様! 気づきました!?

 あと数日で今年が終わるんですってよ!?」


『まぁ本当ですの奥様!?

 私仕事に忙殺されていて、日付感覚どころか曜日感覚も危うくなってしまっておりますのよ!?』


「それは大変ですわね奥様!

 そんなに仕事お忙しいの?」


『ええ奥様。

 しかも今年は、弊社ホワイトIT企業の社長様から直々に『牧野さん、年末年始仕事しすぎ。よって年末年始仕事禁止を命ず』と、社内定例会議で言われてしまいましたの!

 12/29~1/3の間、集中できるからって、9時~25時まで、少し休憩入れつつもブッ通しで働いていた事を、勤務表に記入していましたからね。

 タダ働きはしない派である事が裏目に出てしまいましてよ!』


「まぁ奥様。死ぬわよ」


『大丈夫よ奥様。

 10年以上ブラックIT企業で仕事していたんですもの。たった6日間ぶっ通しで働く事ぐらい、ワケないですわ』


「そうじゃなくってよ奥様。

 奥様、もう中年も下り坂ではないですの? 昔のように体力は回復しませんし、ちょっと不摂生しただけで、お肌の調子も悪くなりますし抜け毛も増えますでしょ?

 ご無理は禁物ですわよ」


『そうでしたわ! 奥様。お恥ずかしい。

 すっかり若い気でいましたわ。ある日筋肉痛になったのに、どの動きが筋肉痛の原因かすら分からないような年齢になってきてしまいましたのに』


「そうですわよ奥様。

 年末年始に仕事せずに済むように、平日の間にゴリゴリやっておけばよろしいのではなくって?」


『違うのですわ奥様。

 平日はお客様対応を行っている影響で、元来ボッチ属性の私は、体力・気力がガリガリ削れるんでしてよ。だから平日の夜間にやる程の体力が残りませんの。

 そもそも現時点で、同じく弊社社長から『22時以降の仕事も原則禁止。ダメだからね』と釘を刺されてましてよ』


「あら? 奥様。

 じゃあ、夜間はお仕事していらっしゃらないのね? ってことは、土日も基本お休みって事でしょう?

 ……何故九章は一向に進まないのかしら……?」


『それはね、奥様。

 最近の平日・土日は、翌週を乗り切る為に、体力回復に努めているからなのですわ。というか、延々その繰り返しですの。

 一日・二日ぐらいでは体力がMAXまで回復しないのですわ。

 あとぶっちゃけ、平日用の食料・日用品の買い出し、掃除、洗濯、その他色々、普段できない事をしていて、それだけでHPが赤点滅してしまうんですの。

 お犬様とお猫様との遊戯の時間もありましてよ。

 特にお猫様はまだ若く無尽蔵の体力で、こっちは肩が上がらなくなるぐらい、一緒にお遊戯しておりますの。

 やる事全て終わらせた頃には、何もない虚空を見つめて、酸素吸って二酸化炭素吐き出すしかできないのですわ。元来体力があまりなくって……お恥ずかしい』


「でも奥様お気づき?

 第八章の連載開始は、2022年1月からでしてよ?

 って事は、1年に1章分の連載しかできていないのですわ。

 それって──」


『言わないで奥様!!

 最初の頃は何も考えずにただ書き散らかしていけたけど、後半になってきて、自分が何も考えずに設定した事が足枷になって、自由に書けなくなってきてしまったから遅筆になってるっていう事実には目を瞑りたいのっ!!』


「おいたわしい……奥様。

 でも、その事実は目を背けても変わらないのではなくって?」


『……そうですわね、奥様』


「ねぇ奥様。

 ちょうど時間が出来るのですから、その間に書き溜めて、1月1日から九章の再連載を再開させてはいかがかしら……?」


『そ……そうね、奥様……

 日付としても申し分ないですし、1月1日から、連載再開、させたい、ですわ、ね……』


「どうなさったの奥様?

 お声がちょっと小さくなってきていらしてよ?」


『気のせいよ奥様。

 私頑張るわ。

 ちょうど良いタイミングですしね。

 仕事禁止令出されて『じゃあ何して過ごせばいいんだよ!』とか、社畜根性丸出しの事を思ってたんですもの。

 その間に、執筆をするのが良い、です、わ、よ、ね……』


「あら? 奥様。

 語尾が聞き取れなくってよ??」


『奥様、ちょっとイジワルね……』


「ふふっ。奥様ったら。

 だって、ちょっと体力が回復すると、奥様ゲームやろうとするんですもの。

 ゲームより今は執筆でしょう?」


『でもね奥様……

 たまにはインプット作業を行わないと、サハラ砂漠も真っ青なほど脳内がカラカラになってしまうんですの……だからゲームも必要なんですのよ』


「そうですわね奥様。

 、なら、ね」


『ヒィ!! 奥様! 何をご存じなの!?』


「奥様……延々ブロック崩しするゲームの、どこがインプットになるのかしら……?」


『お……奥様、これにはワケが──』


「あら? 理由がおありになるの? 奥様。

 それなら是非お伺いしたいですわね」


『奥様……ブロック崩しゲームは、何も考えなくってもできるんですのよ。

 確かにインプット作業を行うのも必要な事ですけれど、私に今必要なのは、脳を休みえる時間ですの。つまり【何も考えない時間】も必要ですのよ。

 その為には、ブロック崩しゲームは最適ですの』


「でも奥様? だからといって、気づいたらそれだけで数時間経過していたら、時間の無駄遣いではなくって?

 脳味噌を休ませたいなら、もっとこう、屋外に出てみたり、公園でのんびりしてみたり、外でお茶をいただくのも、効果的ではなくって?」


『……奥様。重大な事をお忘れですわ』


「重大な事?」


『奥様。私、重度のインドア派ですの……』


「!! なんて事ッ……!」


『私……基本、お外に出たくないの……

 それは、たまには外出したくなるわ? 突然発作に襲われたようになり、ボディバックひっつかんでお外に出て、でも別に目的地があるワケではなくって、近所をフラフラ歩いているだけになって、何も考えずに歩いているから行ったり来たりになってしまい、若干の不審者感を醸し出しつつになってしまいますけれどね。

 でも、そんなの、本当にたまに、なのよ……』


「じゃあ奥様。時間を決めてゲームなさったら?」


『……奥様。私、好きな事を制限つけられるって、好きじゃないの……』


「なんて事を奥様! そんな我儘が通用すると思って!?」


『分かってるわ奥様……でも、制限をつけられてしまうと、結局消化不良で終わってしまって、翌日も無意味な時間を過ごしてしまう事になるの。ここで大切なのは【気が済むまで】なのよ。

 どうせ私は、あまり体力も根気もなくって、飽きるのですから』


「でも奥様? 飽きるのを待っていたら、それこそいつ執筆できるようになるか、分からなくってよ?」


『そうですわね、奥様……

 どこかで、踏ん切りを、つけなければ……』


「まぁ奥様! まるで嫌な事をさせられるみたいに! 執筆はご自身の為になさっているのではなくって!?」


『そうなんですけれどね、奥様。好きだけど体力・気力も消費する事っていうのも、ありますわよね? 例え走るのが好きなマラソン趣味の方がいたって、四六時中走っている事は不可能でしてよ』


「それは詭弁よ、奥様。

【また走りたい】と思うのを待っていても、そんな日は永遠来なくってよ。

 なら、習慣化させる方が手っ取り早いのですわ。

 アスリート、楽器の演奏者、絵描き、漫画家──

 そういう方々は、それぞれ走る事、演奏する事、絵を漫画を書く事が習慣化し、苦労せずともできるようになるの。

 そうなる為には、最初は無理にでも時間をとってやるべきなのよ」


『そうですわね。奥様。

 私ったら、大切な事を忘れていましたわ』


「奥様は……この1年で、すっかり小説を書く習慣が抜けてしまって……

 まずはリハビリとして、短編でも書いてみてはいかがかしら?

 公開しなくってもよくってよ。

 書く練習ですもの。

 リハビリとは、そういうものですわ」


『奥様……お優しいのね……』


「私は優しくはなくってよ奥様。表面的な所で気を許さない事ね。

 口や表情では優しさを繕っていても、後ろ手で鞭を持っている事も、ありうるのですから」


『怖いわ奥様! 奥様そういう嗜好がっ!?』


「ふふ。冗談よ奥様。

 でも、それが冗談で済むようになさっては?」


『そうですわね、奥様。

 じゃあ! 気持ちを新たに! 少しリハビリしてくるわ!』


「その意気よ奥様! 頑張って!」


『ええ奥様!!』



 ***


 っていう、脳内茶番を繰り返し、書くリハビリをする決意をする、今日この頃。


 さぁ、1月1日から連載再開させるために、少しでも勘を取り戻さないとね……

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