22/12/08 賽の河原の続き(※ネタバレ注意

 前回の続きね。

(すまぬ。間が空いたのは、仕事の方の設計であっぷあっぷしていたからだよ)


 元間者は、逃げられるように、偽名で契約書を結ぼうとした筈だな。

 そもそも、もしかしたら本当の名前、なんて物を持ってない人もいただろうし。

 だから主人公は、拇印を押させたと思われる。

 元間者は、これを『逃さない為だ』と考えた筈。


 でも違うんだなぁ。

 主人公はそのうち個人登録制度の簡単な物を作りたいと思ってたので、個人を判別する為に、拇印を押させただけ。


 これは、そもそも、カラマンリス邸に勤める人間たちが、系列病院に凄く安くかかれたり、系列店から安く物を仕入れたり出来るようにする、福利厚生制度みたいなモンのベースなんだよ。

 優秀な使用人たちに、長く勤めてもらう為の制度。

 現代日本では廃れてきてしまったけど、コレ自体には良い側面も勿論あるワケで。

 そのうち今度は、使用人だけじゃなく、その家族まで範囲を伸ばしたりして。そのことを考えてる。

 逃がさない為じゃない、という、ね。


 負の側面で物事を見ようとすると、どんなポジティブな物事すらネガティブに見えるという、ね。


 うーん、だから、元間者は、無頼漢の集まりの中でも、自分の片腕ともいえる人物と、コッソリやり取りして、逃げ道を探してる筈。


 敵伯爵に、二重スパイの話を持ちかけたり、するかなぁ。

 いや、ソレが主人公にバレたら、マジ殺されるからなぁ。主人公が、根っからの捕食者の眼力を持ってたのを、彼は間近で見てるしなぁ。

 いや、アレか。最悪、自分が殺されても構わないから、味方を逃す算段を立てるか。

 今回、主人公の間近に置かれてるのは、監視されてるんだと思ってそう。

 ただ、主人公たちと敵伯爵、どっちの旗色がいいのかは見てるだろう。

 どちらに転んでも大丈夫なように、情報を色々集めてるだろうし……逃げ道か。


 逃げ道、逃げ道……


 情報を集めようにも、主人公も夫も、清廉潔白で何も出てこないんだよなぁ。多少の談合的なものはあるかもしれないけど、この時代、談合防止法とかないし、むしろ「侯爵家お抱え」はステータスだし。

 執事たちがいた時は、下請法も真っ青な圧力とかもあっただろうけど、執事たちを追い出して抜本改革してしまったので、ホントに何も出てこないだろうな。

 だから、主人公のそばにいる事をいい事に、いざという時は、主人公と敵伯爵の次男であるベネディクトを攫って、敵伯爵の所に連れて行く算段を立ててたかな。

 んで、合図とともに、元間者たちは逃げ出すようにしていたかも。


 ただ、その動き自体も、実は薄々主人公は気づいてる。頭から信じてるワケでもないし、屋敷に残った人物たちの動きや、屋敷に置いてある高価な物は監視されているし、主人公の元間者については、ベネディクトと幼馴染に監視されてた。

 恐らく、元間者は幼馴染の方は警戒してても、子供であるベネディクトの方はまだ甘く見てるかも。

 彼は、ベネディクトが暗殺術等を仕込まれてることを、恐らく知らないから。


 ベネディクトは、別に主人公からそう言われて監視してるんじゃなく、なんか動いてるから気になって見てただけ、的な。猫が小さな虫を見つけて、ジッと目で追ってるアレね。アレ、怖いよね。「何を見つけたのッ!?」ってなるよね。アレ。

 ベネディクト・ベルナ兄妹は、私の中では猫的な感じのイメージ。兄のベネディクトは普段はノンビリしてて何考えてるかわからないのに、ハンターとしては最強な感じ。妹のベルナは、まだまだヤンチャな子猫で、好きな事にはまっしぐらだけど、ハタと気づいて(今更)毛を逆立てるクセに、またすぐゴロゴロいっちゃう系の子ね。

 で、ベネディクトは、ただ単に、自分と妹の居心地の良い場所を守りたいだけなの。

 犬は人につき、猫は家につく、っていう、アレ。彼自身は、確かに主人公に恩義は感じてるけど、別にそれはそれってだけで、主人公に心酔してるワケじゃない。ただ、主人公が今いる場所の居心地がいいので、そこにいるだけ。


 よし、こんな感じでいいかな。

 前提さえ考えておけば、作品自体は一人称なので『匂わせ』みたいな布石みたいなのを配置しまくれば、そのうち都合よく辻褄が合う、筈。今までずっとそうしてきたし。


 って事で。

 元間者は、試し行為の為に、主人公たちにネタを持ってくる。それは、恐らく今まで話題には上がっていた事で、その微妙な証拠となるような事を言うのだろう。

 んで。

 弟味方も、そこに関与してるかもしれない、という話題も口にする。

 ちょうど、夫・ツァニスが、味方として名前を上げた時に。


 だから、本当に味方になり得る人物なら、味方に引き入れつつ、敵伯爵と人身売買組織の繋がりを、その弟味方からもたらされる事を期待しつつ──

 もし、それがダメだとしても、非人道的な組織を潰す事で、治安を守りつつ、弟味方を半ば脅迫してでも味方につけようとしていた、と。


 うーん、これで、そこに行く理由と、事前に調査する理由には、なったかな。


 それをベースに考えていけば大丈夫かな。


 うーん。

 あとはァ……


 他に散りばめたいネタを細かく考えておこうかな。


 少女を仲間に引き入れたいって話してたよね。

 その子が、乙女ゲームに出てくるキャラでいて欲しい。

 でも、同級生とかじゃないね。年齢がアティたちより上だから。

『女』を武器にするキャラとか、よく乙女ゲームに出てくるイメージがある。

 あれ? これ、前にもなんか、書いた気がする。書いてるな、間違いなく。

 んで。前に、どうかかわってくるのかも書いた気がする。

 それは、そのまま覚えている範囲で持ってくるとして……思い出しを兼ねて、もう一度ここに書いておこう。


 今回、私はその少女に「女になりたくない」と言わせたいんだよね。

 コレは、性同一性障害とかLGBTQ+とか、そういう話ではなくって、少女は「女性性を売りにしなければ生きていけない大人の女」になりたくないの。

 漫画「さくらん」とかでもそんな一説を見たし、ネットでもそういう話はゴロゴロしていた。

 性消費される未来が待っている、という嫌な現実に、入らなければならないという、拒否感ね。自分がそうしたくなくったって、周りがそう扱ってくるから逃げられない、という恐怖、そして、まだ未発達の身体が、自分の意志とは真反対に成熟していってしまう嫌悪感、そういったもの。


 初潮があった事を知った親に赤飯炊かれて、気持ち悪かった、という話をネットで見たよ。

「子供を産める一人前の女性になっておめでとう」

 というその儀式。

 自分の身体が「他人にとって利益になるようになった」という事を祝われるという事に、歪な不快感をもつ人がいる、という記事を見たんです。

 なるほど、そうか、そういう風に見える事もあるんだ、という事を、それで知ったんだよね。


 作品に出てくる女の子を、そういう子にしたいな、と思って。


 でも、それと乙女ゲームに登場するキャラを、どう紐づけようか、まだ悩んでたんだよねぇ。

 乙女ゲームに登場する女性は、味方か敵しかいない。……ん? 普通、登場キャラは味方か敵か? 物語に登場する時点で、ストーリーに役割があるから、その中で「味方」or「敵」であるのは当たり前か??

 まぁいいや。

 んで、じゃあ乙女ゲームに出てくるキャラって、どういうタイプの人間が多いのだろう、とググってみた。


 ① サポートキャラ

 主人公をサポートしてくれる絶対的味方。相手の電話番号を調査してくれたり。それ大丈夫かなぁ……個人情報保護の観点から心配になってくるけど。

 どうやって集めたのか知らん、相手の誕生日やら好みやら、色々な情報を集めて主人公をサポートしてくれるキャラ。

 この作品で語られてる乙女ゲームでは、ニコラがそれを担っていた


 ② ライバルキャラ

 最初は主人公と敵対しているけど、そのうち仲良くなって親友になったりするキャラ。昔の乙女ゲームには結構出てきたそうな。嫌なヤツじゃなくって、普通に仲良くなれるタイプのキャラだそうな。

 この作品で語られる乙女ゲームでは、ベルナがそれを担っていた。


 ③ 敵キャラ

 悪役令嬢とか、そういうのですね。最後にザマァされるタイプのキャラ。

 アティがソレになるハズだった。

 でも、悪役キャラとはストーリーごとに出てくるはずで……

 実は、悪役令嬢継母作品を書き始めた時、そんな所まで深く考えてなくって、当初悪役令嬢は攻略キャラ全員のストーリーに関わってくると思っていた。

 でも、書いていくウチにその考え方が変わったんだよね。確かに、全個別ストーリーで共通に出てくるけど、各個別ストーリーでメインで悪役をやるのは別のキャラでもいいな、と思い返した。

 だから、ベネディクトの個別ルートでのメイン悪役は、悪役令嬢の継母──そう、主人公だし。

 エリックの個別ルートでは、アティがメイン悪役。

 あ、他のキャラの個別ルートでの悪役、あんまり考えてなかったね。思い返すと。

 そりゃそうだ。個別ルートでのメイン悪役が必要になったから、ベネディクトの時急遽考えた設定だったんだもん。


 なるほど。

 つまり。

 アティと、継母以外の、悪役キャラになる、という事か。


 んで、考えていたのが、「お色気担当悪役」か。

 乙女ゲームでは、お色気担当の女性ライバル的キャラが出てくる事が多いよう。……っていうか、他を調べるのが大変だったから、それでいいやってなったんだけど。


 でも、そうすると、

 少女の頃は「大人の女になりたくない」と思っていたのに、乙女ゲームで出て来た時には「大人の女の色香を武器にする女」になっていたって、どういう生き方したら、そうなるのだろうか??


 いや、でも、冷静に考えると、自分が忌避しているものだとしても、それを使わないと生きていけない、となったら、使うよな。だって超強力な武器なんだもん。

 使う度に、自分の中に意識&無意識関係なく、嫌悪感が募っていくかもしれないけれど。

 例えばさ、私だって原子力発電は、できるなら使わない方向になるといいな、と思うけど、それをやめると生活できないってなるから、頭ごなしに否定できないし。

 今のこの便利な生活は、全て電力が安定供給されているから実現される事なので、今の生活を全部捨ててもいいから原子力発電をなくしたい! とは言えない。

 他の代わりになる発電方法があるなら、それを使いたい。でも、風力発電も太陽光発電も、原子力ほど安定して電力供給できないし。

 あー、はやく蓄電池開発されないかなぁ。


 そういう「本来はあまり好きじゃないけど、生きていく為に必要だから使うこと」って、結構多いと思うんだよね。

 私だって、仕事なんかしたくないわ。でも仕事しないと生きていけないからしてるんだし。できれば仕事なんかせず生きていきたいよ。かなりマジに。ハイ。


 この少女も、そうなのかもしれないね。

 生きていくのに必要だから、使う。

 使わなければ生きていけないから。

 でも、彼女はその事にも、きっと葛藤を抱えていただろう。

 だって、性消費される期間って短いから。13歳~25歳、せいぜい頑張って30歳までだろう。性消費ですら生きられなくなった時、どうやって生きていけばいいのか分からない。

 少女は、路地裏で打ち捨てられた売春婦とか見ながら、それに漠然とした、でも物凄い恐怖を抱いていたかもしれないな。

 あんな風に生きたくない。あんな風になりたくない。

 でも、じゃあどうすれば他の生き方ができるのか分からない。

 自分の生き方のロールモデルがない、というのは、とても怖い事だ。

 未来に希望が持てないからな。


 ……どこかで、シンデレラストーリーを見たかもしれない。

 娼婦が、とある貴族の正式な愛人になったのを。だから、それを目指したか。

 生きる為には金が必要。自分では稼ぐ事は不可能だから、まだ消費価値のあるうちに、貴族を捕まえておきたい、っていう風に。


 だとしたら?

 そういうネタに引っかかりそうなのは──


 ゼノか。


 既に登場済みで、まだメイン悪役がいないのは、イリアスとゼノだ。

 イリアスは女の色香に騙されるようなタイプじゃないからな。

 ゼノだろうな。

 ゼノは、もともとのゲーム上では、辺境伯に引き取られた後、辺境伯のもと、国の政治屋・軍人になるべく教育されて、女性との接点はあまりできない。

 だから、女性の色香にフラフラっとなってしまうかもしれない。

 あ、結構良い展開な気がする。

 辺境伯は金持ちだしね。その愛人の座──場合によっては妻の座を狙っててもおかしくない。

 あ、そしたら、色々邪魔してくる悪役令嬢アティを、マジ邪魔だからと毒殺とかするかもしれないね。悪役令嬢アティは、自分以外は全て嫌い、というタイプで味方はいないから、本来であれば乙女ゲームの主人公という共通の敵を倒す為なら協力した方がいいのに、協力しない。……乙女ゲームのアティは、可哀相なキャラになるなぁ……そうならなくって、本当に良かった……(※親目線


 んで、アティに危険が及ぶかもしれない、という事があった方が、主人公の動機になるし。

 それ、イイね★


 よし、そうしよう。


 んで。

 少女がどう絡んできて、乙女ゲームでは何故そうなったのかを漠然と考えておこう。

 当初、その子はスリとして主人公達の前に現れると思ってた。

 それはそれでいいかもな。

 じゃあ、スリを生業にしていたとして、今はどう生きてる?


 ……全然関係ないセリフが、ふと脳裏に浮かんできたなぁ。

『危機感なく生きてる人間見ると虫唾が走るんだよ』

 ってセリフ。

 彼女は、常に危機感を抱いて周りを警戒していないと、生きていけない世界で生きてきた。だから、何の苦労も無さそうに生きる人間が大嫌い。平和を享受しつつ、自分の苦労も知らないで、自分から搾り取って行った金で安穏として生きてる、と思ってるから。……幸せに、なって、欲しいなぁ……


 映画とか見てると、スリとかで生きてる子供達は、大概、その元締めにショバ代──場所代、みかじめ料みたいのを支払わせられてる事が多い。

 そして男の子は、そのままマフィアになって、女の子は管轄の娼婦になる。娼婦になった女の子は、殺されるか病気で死ぬか。運良く生き延びられたとしても、歪みに歪んで嫌なババアになるだけ。

 ……少女は、そんな中で生きてきた。

 生まれは知らないだろう。物心ついた時には、もうそこにいた。

 ……他の出来事と絡ませてもいいね。そこは保留にしておこうっと。


 んで──


 ああ!

 文字数結構いってる!

 じゃあ、続きは次回ね!


 今回はここまで!

 以上!!

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