22/12/05 賽の河原は果てしない(※ネタバレ注意)
前回、ひどく説教くせぇ内容を書いてしまった。
本来であれば、ああいうのは作中で昇華させてたんだけど、ここ暫く本編を書いていなかったので、その鬱憤が溜まりに溜まっていたようだ。
困った困った。
ここで書いて満足されては困る!
ちゃんと本編まで持ち越さなければ。
私にとっては、それが馬人参の人参なんだから!!
って事で。
まだまだ書きたい事は山ほどあるけど、そのフラストレーションは発散させず、プロットの方に注力しよう。
人身売買イベントの方だ。
これを進めてしまって良いのか、今一度考えてみようではないか。
コレが、ただ主人公に叫ばせたいから使うイベントでは困る。
そういうのを『ご都合主義』という。
それを出すなら、二重三重の意味づけが欲しい。
……ま、実際の現実には二重三重の理由なんかない場合の方が多いんだけどね。事実は小説よりも奇なり、はホントだよ。『そんな事で……?』とかって、本当にあるからね。現実は怖い。
さて。
味方になる敵伯爵の弟──長ぇな。『弟味方』と略そう──は、人身売買イベントで、買い戻したい女の子がいたので、それをずっと待っていた。内心反吐が出る、と思いながらも。
ふむ。あんま、そういうモチーフの作品を見た事なかったので、あんまアレコレネタが出てこないが……クリミナルマインドで人身売買のネタをやっていたので、それを参考に考えよう。
クリミナルマインドでは、2パターンの人身売買が出てくる。
一つは、スタンダードな(?)人身売買。
サイコパス達に、餌を与えるかのように少女たちを売るインターネットのオークションサイトの話だった。
もう一つは、少し違くて、攫ってきた大学生の男女たちに、暴力をはたらく姿を見せる事によって、それで儲けていた組織の話。
二つ目は、現代の需要に即した設定だね。買った子を身近で監禁していたら、バレた時に言い逃げできないし、どこから足がつくのか分からない。
だから、金持ちたちは『見せ物』としてそれを楽しみつつも、家に持ち帰らない事によって、警察などの目を掻い潜っていた。
捕まった子たちは、怪我をすれば治療されるし、最低限の食事──ビタミンなどを取りつつ、ギリギリで生かされ、最後は一大イベントとして殺されて捨てられる、という話。
うーん、二つ目は、ホント『現代の闇』って感じ。人の命の価値が高い現代だから需要と供給がマッチする。
19世紀末頃なんかは、まだまだ人の命は軽かったから……
一つ目の方を参考にしつつ、ただあっちはインターネット売買の方に焦点が当たってたので、二つ目の方からもネタを拾ってこよう。
……ふむ。
そうだな。
主催者。これを、敵伯爵としよう。
弟味方は、オークションに参加させられる事によって、共犯に仕立てられた。恐らく、いざという時の為に、弟味方との繋がりの方を強調された証拠とかも用意されとるだろうな。
だとして。
何故、主人公たちが関わるようになったか、だな。
巻き込まれた、では、準備期間が短すぎる。
準備期間があって欲しい。準備なし突撃ー! は、ちょっと場当たり過ぎるから。
考えてみよう。
そうだな。
カラマンリス領かその周辺領地で、人身売買の動きがある事は、耳に入っていた。
夫が今までそういう話を全く聞いた事がない、というのは、ちょっと無能すぎる。そこまで無能にしたくはない。ちょっと出来が悪いけど素直な可愛い息子みたいな気分だからな。
それに、主人公も一応伯爵家令嬢であり、自領地からいなくなった子供達や女性の話は聞いた事があったろう。しかし、主人公の領地では、熊などの野生動物に襲われた可能性もあって、断定も証拠探しも大変で、行き詰まっていたかもな。(余裕もないし)
んで。
おー?
おおおー?
なんか、イメージが湧いてきたぞ?
昔ね、学校の授業かな? そういうのだと思うんだけど、スリランカのとある村では、女の子が人身売買に売られてしまう事が多くて、ヤバイ地域があるんだよ、という話を聞いたのを思い出した。
その村の子は、目鼻立ちが良くて、如何にもアジア・インド系、ではなく、なんか、こう、良い感じの美しさで。
美しい女の子が本当に多い上、村は貧しいので、親親族もお金のために娘を売るし、攫われる事も多くて──という話なんだけど。
そんな感じで、弟味方は、昔、若い頃に出会った、それはそれは美しい女の子が、人攫いに遭い、人身売買で売られてしまったので、そこで再度売られるのを待ってる、という感じ。
自分はその時子供だったし、歳を取ればそのうち売られるだろう、自分は年老いた彼女でも愛せるから、その時買い戻せるだろう、そう信じて。
クッソ理論だけどな。
いかん。主人公の思考が乗り移ってもーた。
私は第三者的に考えねば。
その子は、透き通った肌にプラチナブランドを通り越して、真っ白な髪に、赤目の女の子──そうです、アルビノ系の姿をした子ね。
ちなみに、ホントのアルビノは青やグレーの虹彩です。赤くはなりませんよ。
私がこの作品でメッチャ嘘ついてるトコはコレ。赤目の人間ていません。
ま、かといって、主人公が唯一のレアパターンではなく、地方性、としてますけどね。
あー。別にアルビノじゃなくてもいいかなぁ。
でも、なんかの『特別性』が欲しい。
主人公とかには特別性って持たせたくないけど、その他の人には持たせたいタイプです、ハイ。
よし、弟味方の関わり方の大まかなトコはコレでいいとして。
他の部分も考えよう。
主人公達の関わりについて。
多分、人身売買組織の噂は知ってた、もともと。でも、多分、そもそもそんなアングラ組織の元締めが、敵伯爵であるというのは、すぐには分からない筈だ。当たり前。そんな話が小耳に挟むレベルで聞けたら、王都管轄の警察部隊が黙ってないんじゃね?
──ああ、違う。知ってるけど動けない、なのかもな。
ぶっちゃけ、治外法権なのかもしれない。
今じゃ考えられないけれど、昔なんかは、いくら同じ『国』の話でも、他領地の問題に首を突っ込まなかったんだよね。
今みたいに綺麗に組織立ってないし、王都は基本他貴族に支えられて存在していた側面が強い為、おいそれと命令出来ないんだよ。
反旗を翻されたらたまったものではないし。
辺境伯が強い地位と権利を持ってたのはそれが理由。王は辺境伯と仲良くしておかないと、いつ寝返られるか分からなかったから。
国の第一防衛線ごと寝返られたら大問題だ。
ふむ。
だとすると??
うーーーーん……
多分、第八章で寝返った敵間者から、もたらされた情報なのかもなぁ。
でも、それをまるっと頭から鵜呑みには出来んな。だってつい最近まで敵だったんだもん。
主人公たちもアホではないので、二重三重の罠を警戒する。
だから、八章で寝返った間者は、基本、本当に味方になったのか、それとも二重スパイなのか、当初は分からないようにしたいね。
主人公は、前世で色んな映画やネタを見聞きしてるから、『相手に信じ込まさせるには、八割の嘘と、二割の真実を混ぜる』手法がある事を知ってる。
だから、元間者からもたらされた情報も、八割が嘘だとしても必ず二割の真実が含まれてることを踏まえて考える筈。
ふむ。
あ、そうか。
何かのイベントや出来事があった時、小説を書く上で一番大切なのは、『そこに関わった人間の感情』だ。行動の上べをなぞるのではなく、感情・考えありき、で考えなければ。
マジうわっぺらな話になっちゃう。
まずは、元間者だな。
彼は、まだ揺れてる。確かに正式に雇われたけど、まだ主人公たちを信じられない。そりゃそうだ。目の前に出された飴がデカ過ぎる。マジかコイツら頭おかしいのか? 裏があるだろ絶対に、と
ま、主人公はマジなんだけど。彼はそれに何も考えずに飛び付けるほど、甘い生き方は出来なかった筈。
だから、主人公たちを試したい。
本気なのかどうなのか。
だから、ハタから見てると怪しい動きに見えるんだ。
主人公たちも、頭っから完全に信じてるワケじゃないし。
じゃあ、どう、試すか、だな。
彼は、逃げ道を必ず用意するだろう。
八章で逃げ道がなかったのは、最後目の前にぶら下げられた最大のチャンスに、思わず飛びついてしまったから。相手の事、舐めてたし。
同じ轍は踏まないようにするよな。命がかかってんだから。
うーん。
いざって時、仲間は逃げられるようにしてるかな……彼らは根っからのゴロつきじゃない──と、したいけど、中にはそういうタイプもいただろう。
でも、多分、そういうヤツらがいる事も加味された上で雇われてるハズなんだよな。
試用期間がある筈だ。
そこでフルイにかける筈なんだよ。
主人公は基本、『誰だって生きる権利はある』と考えてる人間だけど、だからといって何をしても許すタイプではないし。輪を乱すやつ、ではなく、ソイツが持つ能力が、仲間内に牙を剥いたり、不利益をもたらしたらするヤツが解雇対象。
ああ、元間者も、そういうヤツらには手を焼いていたかもなぁ。無頼漢の集まりなら使い所は多少あったけど、組織に属するとなった時に邪魔になる、という事はあるだろう。
元間者も、基本『何らかの理由で社会生活がおくれない』ヤツらを率いてるけど、誰か一人のせいで仲間が不利益を被るのであれば、恐らく切り捨ててきた筈。
彼は、自分が率いる『仲間たち』が生き残る道を必死に探してきたから。
彼は恐らく、その見た目とカリスマ性があったし、頭もイイんだろう。
笑顔で嘘もつけるし、目的のためならなんでも出来ちゃうタイプ。
だから、トップに祭り上げられてた。本人が望んでそうしてたっていうより、自分以外に適任がいなかったから。
彼は別にトップになりたかったワケじゃない。仲間たちが効率よく生き残るには、自分が陣頭指揮取った方が楽だったに過ぎない。
ふむふむ。
だんだん、彼の人となりが見えてきたぞ。
こう見えて、彼は味方を放っておいて逃げられるタイプじゃないんだな。はぁはぁ。
実は、書いていて、主人公の幼馴染の射撃者との違いに悩んでたけど、ここが大きな違いだ。主人公の幼馴染は、過去逃げた経験を持ち、いざとなったら、主人公とアティだけを連れて──いや、下手をしたら主人公だけを連れて逃げるタイプ。
全部を捨てられちゃうんだよ。
なるほど。
そんな違いが。(※書いてるの、自分
もう一つ違いがあるよ。
こんな問題があったとしよう。
『今日1000円あげるのと、1年後に1万円あげるの、どっちがいい?』
コレ、普通に考えると1万円の方が10倍得なので、1万円の方を選ぶだろ、と考えがちだけど。
ある一定数、1000円の方を選ぶ人がいるらしい。
これ、待てないから、とか、短期的快楽の方にしか目がいかない、のではないらしい。
それを選ぶ人の殆どが『1年後、その1万円をくれる可能性を信じられない』からなんだろうな。
これは、頭がいい・悪い、教育の問題じゃないらしい。
『約束が守られない環境で育ったか』どうからしい。
つまり、今まで散々、約束を反故にされてきたんだよ。
これで1年後を躊躇なく選べたのは、1年後の約束が守られると無意識に思い込んでる、幸せな環境で生きられた証拠なんだってさ。
あと。
その1000円が、いますぐ欲しいぐらいに困窮してる、って事。
損か得かを選択できる、今生活に困ってるワケじゃない人って事。
今まさに空腹で倒れてる人に、『今、たった一つのパンをあげるのと、一年後に1年分のパン、どっちがいい?』と聞いたら、即『一つのパン』を選択するだろうな。
そういう事。
私も、ちょっと前までは『なんで1万円を選ばないんだ? 頭悪っ』って思ってた。
そうじゃなかったんだと、改めて自分の見識の狭さと、恵まれた環境に気づかされた。
話がズレた!
んで。
元間者は、迷いなく1000円もらうタイプ。未来が保証された生き方をしてこなかったからね。
幼馴染は、迷いなく1万円を選ぶタイプ。そして、もしくれなったら──くれるまで執拗に命狙うタイプ。狙った獲物は必ず仕留める。それが良い狙撃手の資質だから。
こう考えると、元間者の方が良い人だし、御し易いタイプなんだよなー。
幼馴染の方が、実は扱いにくいタイプで。主人公目線から見ると、幼い頃から知ってる絶対的信頼出来る味方なんだけど──それを外から見ると、ヤバいのはむしろ幼馴染の方っていう、ね。いざという時に裏切る資質を持つのは、実は幼馴染の方なんだよねー。こわーい。(※他人事
話がえらいズレたな。
逃げ道の話だよ。
主人公たちと、契約書をそれぞれ結んでる筈なんだ。しかも。彼が率いていた無頼漢の集まりの中にいた子供たちは、準備が終わった養育院に保護されてしまった筈。
彼は、それを『人質』だと感じてると思う。
逃げるには、身軽にしておかなければならないし、逃げ先の目処もつけておかないといけない。
もし主人公たちが裏切らなくても、敵伯爵との戦いに主人公が負けた時に、巻き込まれて殺されないようにする意味も、勿論ある筈だ。
長くなってきたので、一度ここで切ろうかな。
続きは次エピソードで。
今回はここまで。
以上!!
それでは!!
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