気がつくと、わたしはさっきまでプレイしていたゲームの中の悪役令嬢に転生していた。パーティ会場の片隅にドレスを着て立ち尽くすわたしがいる。
　まずい！　ここは悪役令嬢が断罪される場面じゃないか！　回避しなければその先にあるのは追放しかない。爪を噛みどうやって切り抜けるか必死に考えた。「考えろ……考えるんだ……」

　気がつくと、俺は悪役令嬢に中盤でザマァされるラノベの中のバカ王子に転生していた。俺の傍らには共にザマァされる予定の伯爵令嬢がいる。ヤバいぞ！　こいつのせいで俺はこれからドン底に叩き落とされる運命だ。「なんてこった……。いや、このまま終わってたまるか。絶対に回避してやる」

　気がつくとワシは、貴族の伯爵令嬢に転生しておるようだ。ワシは自分がもたれ掛かって腕を絡みつけている相手を見上げた。王子とおぼしき男が引きつった笑いを浮かべておる。なんじゃこいつは！　気色悪い。む、なぜか突然王子から腕を振り払われた。回避がどうとかつぶやいておる。よく見れば先日うちの孫娘が連れてきた軽薄極まる彼氏にとてもよく似ている気がする。今すぐにも説教を喰らわせてやりたい感情がワシの心にわき上がってきていた。

　王子と伯爵令嬢が入り口に登場したことで、周囲にいた貴族たちの目がいっせいに入り口へと集まった。同時に、広間の端で爪を噛みながらあたりを睥睨していた令嬢が中央へと進み出る。彼女はこれから仲間を集め、魔王討伐に出発する予定だともっぱらの噂だ。やはり只者ではない眼力とオーラをまとっている。おそらく所信表明をするのだろうと貴族たちは彼女の第一声を見守った。
「王子！　わたしは、明日この国から出る決意をしました！　つきましては」
　しかし王子がそれを遮った。
「待ってくれ！　今、君を一人で行かせるわけにはいかない！」
　聴衆からどよめきが起こった。王子から突然の魔王討伐への参加表明である。
「なんじゃと！　お前なぞに娘を任せるわけにいくか！」
　なぜか伯爵令嬢もツンデレ的に参加への名乗りをあげた。数人の貴族たちから始まった感嘆は、いつしか会場を揺るがすばかりの拍手と声援へと変わり、座っていた貴族は立ち上がって彼らの勇気を称えた。
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私が王道展開のハイブリッド？で思いついたのはこれです。

個人的な意見ですが、「実は強い主人公」って、単純な腕っぷしの強さだけでなく、情報力とかも抜群なイメージなんですよね。中村主水も冴羽遼も水戸黄門も、全員情報力パないんですよね。
で、それと、情報不足でやっちまったぜの「前半、悪者だと思って倒したり壊したりしたものが、実は大切なモノで壊しちゃいけなくて、それによって大事件が引き起こされる」展開が噛み合わせが悪い気がします。

この作品面白いのか？　の病は、書いてから考えましょう！
どれだけ凡庸にみえるプロットでもめちゃくちゃ面白い作品もあります！
１章書いて、面白いか分からなくなったら、少し休んでから改めて読んで、なんでつまらなく感じるか分析して書き直せばいいんです！

＜＜『話の構成凝り過ぎると、キャラの魅力死ぬぜ？　このままでいいんか？』
これは、凝り過ぎるとキャラが死ぬのではなく、作中でせっかく考えた構成だからと説明しすぎるとキャラが死ぬだと思います。なので、考えるだけなら大丈夫です！

果たして、牧野さまに私の好みが当てられるかな？
（めちゃくちゃ明言しているので簡単だと思いますｗ）