20/10/05 要件定義。最初のステップは主人公。

 よし、じゃあ感情を!!


 と。

 思った時に。

 もう一人の冷静な私がツッコミを入れてきた。


『その要件、本当に正しいか? それがユーザー(※今回の場合、作家の私)の本当のしたい事か? 違うだろ?』


 そうツッコミ入れられて、ふと気づく。


 そうだよ。

『みんなに表現したい感情を思いつきたい』

 が本当の要件ではない。


 今回の場合の本当の要件は


『私の読者に向けた作品を書きたい』


 だった。

 その上で出た結論が

『勢い・リズムがありつつ、書き方の技巧が凝らされ、感情をコッテリ込めた作品を書く』

 であり、そこから派生した要件が

『表現したい感情が思いつかない』

 だったんだ。


 そもそも、要件定義をするスタート位置が間違っているんじゃないかっていう事まで、考える必要があるのではないか??


 ……確かに。

『このパターンでいつもドツボにハマる』

 と言ってるんだから、そのパターンのどこにボトルネック(※)があるのか、そのそもそのパターンが正しいのかどうかまで精査する必要がある。


『勢い・リズムがありつつ、書き方の技巧が凝らされ、感情をコッテリ込めた作品が書きたい』


 コレ自体は間違っていないものとしよう。

 そこを疑いだしたらキリが無い。

 では、その作品を書くにあたって、どうすればいいのかを考えていった方がいいだろう。


『作品を考える為の手法』から見直すのだ。

 さっきは『感情から考える』と安易に言ったけれど、そもそもそこから開始する事自体が間違っているかもしれない。


 そう、過去何度も何度も、その方法でつまずいてきたのだ。

 だから多分、違うのだ。

「感情を伴うオチからストーリーを構成する」というやり方自体は、多分間違っていない。

 それで何度も作品を構築していったし、構築できたし。

 問題は、そこに辿り着くまでの過程なんだ。

 突然そこに飛んでも上手くいかない。過程がないからだ。

 その前段階に必要な事がきっと沢山あるんだ。


 それが何なのか、まずは過去長編を書いた時の事を思い出そう。


 幸い、サバコン、そして30コンについては、詳細がエッセイとして残っている。

 まずはそれを解析して、『作品という形まで完成させる工程』を確認してみよう。

 創作実況やってた強みだね☆

 さっそく読み返してきてみるねー。


 しばし、ご歓談ください。


 ***


 サバコンの方のエッセイは、エピソードにタイトルがついてなかったので、読み返すのが大変だった……

 これ、確か30コンの時も同じ思いをした……そろそろ本当に、エピソードタイトルを付ける事を考える必要があるかも……

(でも、こんなに読み返す事があるなんて思わなかったんだもん)


 そして。

『オチから思いついていた』と思っていた流れが、実は違っていた事に気がついた。

 ホント、創作実況エッセイやっててよかった……


 両方の作品で、全く同じ事から開始しておりました。


 まずは『読者を想定する事』


 これは、今回は既にやっていましたね。

 でも。

 創作エッセイの方では、ここから更に突っ込んで考えていました。


 主人公をどうするか。


 そう……散々延々『キャラを考えるのが苦手』と言いつつ、先に主人公キャラの性別と年齢を考えていたんですよ。

 自分でもビックリ。


 サバコンの時は『サイバーセキュリティを知ってほしいの代表』として、14歳の女の子にしていました。

 女の子になったのは、たまたまその前に考えていた話からヒントを引っ張ってきていたからですね。


 30コンの時は、主催が富士見L文庫さんだったので、その出版傾向から『大人の女性』と決めていた。


 そして、主人公を決めた後、作品の『テーマ』を決めていた。

 テーマと主人公は、ほぼ同時だったような気がするが。


 オチは、その二つが揃った後に、色々な展開などを夢想してから思いついていた。


 てっきり、『オチから決めていた』と思っていたけれど、やはり違っていたのだ。

 これが、今回上手くいかなかった理由だ。


 サバコンのエッセイの方でも自分で言っていた。

『無から有は産めない』

 と。

 色々駒が出揃って、初めて『感情』を含めたオチが浮かんでいたんですね。


 ホント、創作実況残しといて良かった……

 じゃなきゃ、作品を一から書くときに毎度毎度苦しむ事になって──

 いや、既に苦しんどるやん。

 エッセイで大切な事書き残してるけど、それがある事を忘れて、結局毎回同じ事で苦しんでるやん。

 ダメダメ〜☆


 まったく。

 私の記憶力は本当にあてにならないな……


 よし。

 私の読者を想定した時に、誰を主人公にすべきか?


 これ、私の作品の読者さん(※まだこの言い方に慣れない。なんだかとっても気恥ずかしい)は、雑食系であるが故に好みが結構バラバラ。

 うーん……今まで私が書いた作品で「キャラがいい!」って言われたのは、大人の女性が多いなぁ。

「強い女性に振り回される男性」も好いてもらえたか。

 これは、私自身が書きやすいタイプだから、読み手も一緒に楽しんでもらえたからだろう。


 うーん……


 これで想定される組み合わせは

「主人公は強い女性で、ストーリーテラーが振り回される男性」

 というバディものか。


 ……この組み合わせは、実は現在躊躇している。

 まっさきに思いついたけど、頭の中で否定した理由がある。


 私は、「バディもの」として考えた時に、そのバディの関係性の間に恋愛感情を含めたくないのだ。

 じゃあ、含めなきゃいいじゃん、と言われそうだが、例えば男女バディものにした場合、読者はそこに恋愛感情が含まれる事を期待してしまうのではないか?

 含めない事により、読者の期待を悪い意味で裏切ってしまうのでは?

 という思いがあり、躊躇している。


 うん。

 これも『作品を書きたい』という要件上に現れる障害だね。


 チャレンジカップの本編の方では、片方を女装男子にする事によりこの障害を取り除いた。

(※女装男子が、同性愛者なのか異性愛者なのかまでは言及していないし、言及する気もない。でも少なくとも『恋愛感情が含まれないと逆におかしい』と読者に思われない筈、と考えた)


 ……そうか。

 バディもの、とした時に。

 私は、その2人の間にのではなくと思っているのか。

 そして、その関係に萌えるんだな。

 そしてそれを分かりやすく表現する為に『恋愛が発生しにくい組み合わせ』を好むんだ。


 ちなみに。

 サバコンの時は『バディ』まではいかなかったものの、主人公14歳の女の子の相棒は、ゴリマッチョの子守ナニーオートマトンとした。

 お世話する側とされる側。親子に似た関係上、ここにも恋愛感情は生まれにくいものだった、ハズ。


 ふむふむ。

 つまり、私は恋愛感情について、結構「浅はかな感情だ」と見下している部分があるのかもしれない。

 だって、人の感情に貴賤はなかろう。

 人によって、感情の優先度とは違うものだから。


 正直、作品のキャラを書いている時も、恋愛の優先度が低めのキャラの方が書きやすい。

 だからといって、恋愛に鈍感なタイプも嫌いだ。それってつまり、他人の機微きびを読めないタイプ=空気読めないタイプ、だから。(自分の空気の読めなさに辟易へきえきとしている部分があるから)

 人気作品の主人公としては、この鈍感タイプが多いが(ジレジレ系作品もそのパターン)残念ながら私には書けない……ああ、モブとして出すのは出来るけどね。(でも、モブとして出したら、私の中での優先度が低くなってさげすんだ描写になってしまうかもしれない)


 話がズレた!

 私の作品の読者向けの『主人公』だ。

 しかも、全然話進んでねぇ!!

 決まってないよ! 決まってないよ! 自分の地雷しか公開してないよ!!


 ……そうか。

 これが『キャラを考える』時のボトルネックなのか……

 ここであーだーこーだ云々かんぬんやるから、三歩進んで三歩下がる結果になる。


「この方がいいのではないか? 読み手にとっては」

 と思うけれど

「それは個人としては嫌。感情論だけど」

 という事でひっかかり、

「じゃあどのようにすればいいのか?」

 という部分で答えが出ずに四苦八苦するのか。

 そうか。

 なるほど。


 ……現段階で、そこまで考えるのは、まだ早いのではないか?


 サバコンだって30コンだって、この時点では「14歳の女の子」「30オーバーの女性」としか属性は決まっていなかったし、他に誰を出すかなんていうのも、この時点では確定していなかった。

 そもそも、その後の工程で色々変化していったし。


 私の悪い癖だ。「まだそれを考える段階ではない」という事を、先んじて考えてドツボにハマる。

 気を付けよう。


 この時点ではまず、主人公の年代と性別をざっくり決めるだけでいいのではないか?

 もし、それで今後の展開を夢想していった時に障害が出てきたら、工夫して障害を取り除けばいいだけなんだから。


 よし。


 と、いうことで。


 ……。


 今回の作品も『20歳以上の女性』という事で仮決定させていただく。

 え? 過程もナシにいきなりそれ決定していいのかって?


 だって、ティーンの女性の事なんて、書ける気がしないもん……

 あと、主人公として書くなら、やっぱり「カッコイイ女性」がいい。

 そして、私が言う「カッコイイ女性」は、比較的年齢が高いんだもん。

 え? 「振り回される男性でもいいんじゃないか?」って?

 それでもいいんだけど、「振り回される男性」の場合、必ずセットで「振り回す人」を考える必要が出てきてしまう。

 そこまで現段階では考えたくない。


 じゃ、そういう事で。

 一度仮決定という事で。


 長い! このエピソード長いよ!!


 取り敢えず、次回は主人公をコレとしてテーマを決めていくよ!

 多分ね!!


 それでは!!


 ***

【ボトルネック】

 ビジネス用語なのかな? あ、システム設計用語なんだ。ITだけに限定はしないけど。

『ボトルの首』という名前の通り、『細くなってる』=そこに制限事項がある→そこを改善しない限り、他を良くしたって全体的に思ったような成果は得られない、という時に使う言葉。

 雑にいうと『全体が良くならない要因』の事。


 システム開発には、ものすごーくよく使う言葉。でも、誰もその言葉の意味を説明してくれなかったから、なんとなーくニュアンスで理解した言葉。

 要は『弱点』みたいな事だよ。

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