20/08/30 羽衣伝説について

 ヤッバイ。


 羽衣伝説にかかわる論文って、実はジャンルが広くて、地理学、歴史学、文学、宗教学、伝承学など、多岐たきに渡る。

 これ、それぞれ研究者の人たちが、自分の専門ジャンルの切り口から書いているからアプローチが違くって、目から鱗がボロンボロン落ちる。


 楽しい。

 下手な小説読むより楽しい。


 日本語の論文しか(私が)読めないのが悔しい……

 いや、自動翻訳すれば読めるだろうけど、多分そうすると、自動翻訳されたものの、本来意図した意味を理解する事と、内容そのものを理解する二重苦に苛まれて、脳みそ沸騰しちゃうから。


 でも、日本文化を持たない人の視点でも読んでみたいなぁ……


 また、七夕の伝説との融合も面白い観点だなぁ。

 日本には、大きく分けると2種類の羽衣伝説があって、


 ① 近江型:男の嫁になって子供を作るけど、羽衣奪還して天に帰っちゃう

 ② 丹後型:老夫婦の養子になって色んな素晴らしい技術を伝えるんだけど、追放されて路頭に迷う


 ①の方を私は知ってたね。

 でも、①にもまたオチの部分が地方によって違くて、オチの部分で七夕伝説が混じってくる場合があるんだって。

 ホント、面白い。


 ②はまた別の寓話と融合してそうだよね。


 どうしよっかなぁ……

 調べれば調べる程深い世界で、数時間程度では調べきれない。

 そもそも色んな人が論文発表しているレベルの事柄なので、独自で調べ始めたらそりゃ論文書けるレベルで情報が集められるって事だよなぁ。


 とんでもねェ深みだ……覗いてはいけない深淵だったのかもしれん。


 羽衣伝説のポイントは「天女の血を引く子孫がいる」という点みたいなんだよね。

 これがホント面白い。


 要は「異種族婚姻」はよくあるモチーフなんだけど、面白いのが「子孫」が生まれて、かつ事が、羽衣伝説のキーポイントみたい。

 ふふ。

 これ。

 ね。

 私がさ、ポイントをソフトタッチしていく設定だよね。


 そう、「選ばれし血脈」の話になってくるんだよ。

 ホント、昔から人間ってこういう話好きだなぁ。


 私は、こんな背景があったんじゃないかと妄想します。


 ***


 むかーしむかし。

 とある場所に豪族が住んでおりました。

 その豪族はその土地でとても力を持っていました。


 ある時、その豪族は「自分の一族は特別であると示したいな」と思いました。

 しかし、ただ「凄いんだぞ」と言っても当然誰も信じてくれません。


 そこで豪族は考えました。

「ウチの一族は、特別な血を継いでいる事にしよう」

 豪族は、自分のご先祖様の女性の中に、天女がいた事にすることにしました。

 でも「天女がいたんだよ」とただ言っても信じてもらえません。

 なので、天女がいた理由を考えました。

「冬になると飛来する白鳥、アレが実は天女様で、衣を奪われてしまったから白鳥の姿に戻れず天に帰れなくなった。それで妻になって子供を残した事にしよう」

 凄く良い案だと思いました。


 でも、その話を伝えてみたら、ある時誰かが疑問の声をあげました。

「天女様は歳をとらないもんじゃないのかい? なんで今は天女様がいないんだ?」

 そう問われて、豪族は頭をひねりました。

 そして答えたのです。

「天女は、奪われた衣を奪い返して、天に帰ってしまったんだよ」


 そうして、豪族は「天女の子孫である」という事を主張する事に成功し、その地では長らく、その豪族が手腕をふるって治めていきましたとさ。


 おしまい。


 ***


 的な感じなんじゃねーかと。

 あ。

 あのですね。

 現存する、天女の子孫といわれている一族の方々をディスる気持ちも否定する気もありません。


 上記は、あくまで、私の、妄想ですから。

 よろしく。


 で。

 じゃあこの羽衣伝説をどうやってストーリーに利用するかってところですよね。


 私は「特別な血脈」というのがあまり好きではないので、別の部分を利用できないかっていうところに着目したい。


 例えば、私が考えている異能力とのコラボ。


 天女が天から降りてきて脱いだ羽衣。これを、異能力のコアに読み替える事によって、『異能力者が異能を奪われてしまったので、取り返すまで側に居続けた』という風に見る事ができるんじゃないか?


 とかね。

 考えてみたよ。


 ただ、これだけではつまんないので、羽衣伝説にひっかけた何かが起きると嬉しい。

 それでこそ、既存のモチーフをもってきた甲斐がある事になるし。


 うーん。

 例えば、この羽衣伝説の中で「天女」の視点で物事を見てみたらどうなるんだろうか?


 *****


 ある時訪れた場所で、空を飛ぶ為の羽衣を木にかけて水浴びをしてた。

 そしたら、人間の男に羽衣を奪われてしまい、天へ帰れなくなっちゃった。

 返せと言っても返してくれない。

 羽衣がないと、天へ帰れない。

 なので羽衣を奪った男の妻になった。


 *** ちょっと小休止 ***


 これさ。

 なんで天女は羽衣を奪った憎き野郎の妻になったのかなぁ。

 私なら、速攻でボッコボコにして家探ししてでも羽衣を奪い返すけど。

 羽衣を奪われると特別な力が全くなくなってしまって、人間を倒せなくなってしまうのかな??

 だから仕方なく、って感じ?

 ああ、寝首をこうとしてた?


 まぁ、その時代は一人では生きていけるような時代ではないから、やっぱり「仕方なく身を寄せただけ」なのかも。でも、ただ身を寄せるだけじゃ多分許されないだろうから妻になったのかな。


 仕方なく──


 これ、このポイントを深堀してったら面白くなるかな?


 そこは置いておくとして。

 続きね。


 *****


 男の妻になり、子供もできた。

 ある日、天女は羽衣も在り処を知る事となる。

 天女はすぐに羽衣を奪還し、子供も夫も残して天へと帰ってしまう。


 *****


 ここ、地方によってオチが違うんだよね。

 子どもも連れて帰るパターン、天へ帰るんだけど夫が天上の世界への追ってくるパターン(七夕伝説混合)。


 オチどころか、男の嫁にならないパターンもある。


【その他パターン①】

 水浴びしてたら男に羽衣取られた。

 羽衣を奪った男に返せと言ったら、舞を踊ってくれたら返すって言われた。

 舞うには羽衣ないとダメだから先に返せって言ったら「ウソついて逃げる気だろ」と男が言う。

「ふざけんな、簡単にウソつくお前ら人間と一緒にすんなボケ」と言ったら、羽衣返してくれたから、約束通り舞を舞って天に帰った。

(人の物を盗っておいて命令してくる男の神経が知れないね)


【その他パターン②】

 水浴びしてたら老夫婦に羽衣取られた。

 仕方なしに老夫婦の養子になった。で、色々な凄い技術を伝えた。

 でも、しばらくしたら「やっぱお前娘じゃねぇし」と老夫婦に追い出されてしまった。

 天女は路頭に迷って別の場所に流れ着き、そこで暮らしました。

(何で途中で追い出したのか意味が分からない。しかも、羽衣返してない)


 色々なパターンがあるけど、深掘りし甲斐があるのは、やっぱり私がもともと知ってるパターンだな。


 しかもさ。

 天女は最後まで羽衣盗んだ男を憎みぬいていたら面白い。

 だって、私だったら絶対許さんな。

 子供も置いてったっていうのは、子供に愛情がなかったからか。それとも人間の血を引いてしまったから、天上で過ごせないから置いていったのか。


 よく巷では、「自分が生んだ子供なんだから愛情がある筈」とかって言説も当たり前的に語られるけど、それはどうだろうと思う。

 人によるんじゃないかなぁ。


 例えば、天女の視点で見たらさ。

 男や子供がどうしても愛せない姿形として見えていたかもしれないじゃん?

 それか、憎き男の血を引いてるっていうだけで、例え自分の血を引いてても憎しみの対象だったかもしれないし。


 人間の、こういう複雑な心情が好きだなぁ、私は。


 例えば天女様が、「末代まで祟ってやるわ」とか心に誓って天上へ帰ってたらどうなるだろうか?

 呪い的な?


 うん、なんか面白そう。


 その方向で色々膨らませていったら、面白い作品ができそうな予感がする。


 あくまで、予感だけど。


 このままちょっとこの方向で考えていこうか!

 今回はここまでね。


 それでは!

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