第79話 それはまだ先のこと

 残りの鍵を手に入れた三人は、タルタロスへと旅立った。


 残されたガイアは、その場で深く長い溜息を落とす。



「駒が進む。永いティターン戦争ティターノマキア終焉しゅうえんを迎え、今度こそゼウスへと王権が移るであろう」



 これは予言。


 混沌カオスが意思。



「少しずつ変わる未来は、何を映し出すのであろうか。混沌さえも畏怖する未来――」




 いずれにせよ。


 かなめとなるのは、太陽の神。



 そして、あのどうにも傲慢ごうまん如何いかんともしがたいアポロンを動かせる唯一の存在――。


 女神継承者エストリーゼ。



 その心を人間に留めたまま神を従わせる力を持つ、か。


 ふと、ガイアは自分の声が震えていることに気づいて軽く自嘲した。



 何も今、考える必要はない。


 それはまだ先のこと――。


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