第10話 空

最近、いや、もう少し前から


「あれ?」


と、空の色が変わっている事に、気付いた。


晴れた日の青空を、見上げて


「あれ?こんなに青が薄かったっけ?」


夜の遊びの帰り道


夜道を歩きながら、空を見上げ


「あれ?こんなに夜の空が、煙たく濁っていたっけ?」


でも、風が強く吹いた日には


青空の青は、また以前の様に濃く


夜空の黒は、また以前の様に濃い


昔から、風が大好きだった。


台風の夜など、ワクワクして


停電すらも、ドキドキワクワクして


雷も大好きで


硝子戸越しに、座布団に座り


ピカッと光り、ごろごろと唸る雲の空の声にドキドキして


稲光が地上に落ちるのを


雲の中で、光って、雲が美しく妖しく光るのを


ずっと飽きずに、見て居た。


きっと、全ての、


空の風の、水の海の、大気の雨の


姿には、意志と意味と、音楽があるんだ。


死の恐怖も超える、音楽が。


あるんだ。

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