第6話 本と文章と貴方と幻

昔から、全く本なんてそんなに、好きじゃなかった。


ただ、母が、教育の為に買った


一通りの、有名な世界の児童文学を


何となく読んだくらい。


自分で選んで、面白くて大好きだったのは


恐らく本の虫の父が、大量に買った文庫本の中の


古い、でも原書に近い、グリム童話。


単純で、簡潔で短い文とストーリー。


でも奇々怪々で、意味不明な不条理で、滑稽で


ちょっと、いきなり残酷だったり、ホラーだったり。


絵も好きで。絵の方が好きだった。


親が買ってくれた、児童書のチャイクロ。


父の部屋に在った、有名画家の作品集。


どちらも、意味不明の子供の落書きの様な


抽象的、とでもいう様な世界が好きだった。


小学校高学年でも、好きなのは童話、民話。


読書感想文なんて大嫌い。


自分に文章書く才能も、読書好きの文学少女の素質も無いと想ってた。


今でも想ってる。


ただ、歌の歌詞には異常に敏感で。


好きな作詞家さんとか、小学生でいるくらい


ちょっと、変な子。


歌詞には、ずっと、惹かれる物があって。


詩、もそう。


夢見る様な、端的でありながら、美しい比喩表現が好きなのかも。


自分が、喋るの得意じゃないせいか


映画や漫画とかのセリフ、にも敏感な子。


そんな私に、文才があるよって


初めて教えて、応援してくれたのは


貴方、で。


私を、救い、苦しめ、でも、甘い感触を教えてくれた


でも、絶対に、一緒にはなれない。


なっちゃいけない、人。


貴方にとっても、私はきっと、


生身の痛みのある女と言うよりも


自分を苦しい地獄から、抜け出させてくれる


「幻」なのでしょう。

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