第5話 私の家族は

昨日の長い長い


本当に長い、旅の様な散歩


思い切り腕と顔は焼けたけど


とても幸福感に満ちて


心も細胞も生まれ変わったようだった。


良く行く団地の中の歩道を歩きながら


いつものように空を仰いで


長く太くそびえる、青い葉をたわわに、身につけて


風にそよいでる、いつもの木々を見て


「お父さん、みたいだな。」


と、想った。


いつも唯、黙ってそこに居て


私が会いたい時に、一方的に逢いに行くのだけど


いつも変わらずに、其処に居てくれて


高い高い、大きな、その逞しい姿で


暑い夏は、沢山の瑞々しい葉を揺らして


熱い陽射しから、守ってくれる。


無口で、動かないけど


いつも其処に居て


避難すれば、黙って優しく、受け止めてくれる。


大きな木は


私にとって、本当の理想のお父さんみたいだ。

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