降ってくる

 ここ最近はよく雨が降っている。やれやれいつまで雨が続くんだか、と俺は傘を開いた。


(もう何日青空を見てないんだか)

 もうここ最近の空はずっと分厚い雲に覆われっぱなしだ。

 まだ明るい時間帯に、駅まで続く並木道を歩く。道路沿いには小さめのスーパーや飲食店、アパレルショップなどが並び、そこそこの人通りがある。

 バラバラと、雨が傘に当たる音がする。一人での帰宅なので当然無言。ただ雨の音を聞きながら歩くのみ。


 ボッ


 何か、そんな音がして傘にすごい衝撃が走った。なんだ、と傘を見上げると、新品であるはずの傘に5センチほどの穴が空いている。

「なんだよ、上からなにか落ちてきたのか……!?」

 下を見て、絶句した。

 地面に、5センチほどの穴が空き、その底はここからではうかがいようがない。傘を畳んで刺してみると、するすると入っていった。

「…………」

 上を見上げる。

 分厚い雲に覆われきっていたはずの空に一点、まるで穴が空くように丸く雲が途切れている箇所があり、細い日の光がそこから降り注いでいた。


 

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