　三島！　この話はやめよう！　俺の中学のときの女癖を追及するのはやめよう！　そこは深く掘り下げてもお互い幸せにならないと思うんだよな！　

　分かった！　じゃあ他の話をしよう！　他の話……そう……。

　不倫した友達の話にしよう。

　俺の当時の女友達がな、不倫してたんだよ。不倫っつっても、相手のことは独身だと思ってたらしくてさ、既婚者だって分かったときはもうガチでキレてたんだよ。

　だからさ、奥さんにばらしにいくって。女友達と不倫野郎も話し合ったらしいけど、なんかうまいこと言って別れようとしてるってさ。だから奥さんに全部話して責任とらせてやるって。

　そんな修羅場付き添うっきゃねえよな～！　え？　ない？　怖いから無理？　そう？　

　まあ俺は見てみたいから上手いこと言ってついてったんだよ。で、金曜の夕方くらいかな、そいつの家に着いた。予定としてはクソ野郎が帰ってくるまで奥さんと話し合いして、クソ野郎が仕事から帰ってきたら三者面談コースだ。逃げようもしても俺が逃がさねえ。

　で、ピンポンしてドア開けてもらって簡単な経緯説明して、証拠になりそうなもの……写真とかSNSの履歴とか見せたら中で詳しくってなったんだよ。

　まあ他にも持ってた証拠と、結婚してるの？って女友達からの質問に「独身だよ」って答えて騙してた証拠のスクショ見せて、騙されたので訴えますと。

　奥さん混乱してたけど怒鳴ったりとかはしなかったなあ。信じられない、けどはっきりした証拠は目の前にある、でも受け入れられない、ってかんじ？　まあ当然か。

　でさ、友達が「ちょっと男の子には見せられないものがあるから後ろ向いてて欲しい」って言ったんだよ。は～ん、エッチな写真でもあんの？　って思って言われた通り後ろ向いたんだって。

　でも変な感じがしたからすぐ振り返ったんだ。多分殺気を感じたんだろうな。

　だって友達がさぁ、どっから出したのか折り畳みナイフ振りかざしてるんだもん。慌てて力ずくで止めたけどさ、お前ほんと女？　ってくらいの馬鹿力。気を抜けば振りほどかれそうなかんじ。あれが火事場の馬鹿力ってやつなんだろうな。女の帰宅部の力じゃねえもん。

　こりゃやべえと思って締め落として、奥さんに頼んで紐持ってきて貰って足と腕とあと両方の親指を縛ったんだよ。人間は両方の手の親指をまとめて縛られるとろくに動けない。これ豆知識な？

　んで意識取り戻した友達にさ、「お前憎いのは不倫野郎のほうで奥さんのことはどうもしないって言ってたじゃん。どうした」って聞いたんだよ。

　そしたらさぁ「奥さんが死ねば一番傷つくでしょ？」って。あー怖。

　そんなタイミングで不倫クソバカ野郎が仕事から帰ってきたから、そのあとは地獄の修羅場だったなぁ。

　俺？　不倫なんてするわけねえじゃん。相手がいるのに手ぇ出してくるやつに、いいやつがいるわけないからさぁ。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい