◆弊社も御社も大爆発!◆ ドキドキさんの人生相談 九九九回

 おはよう。こんにちは。こんばんは。

 ドキドキさんの人生相談のお時間です。今日もドキドキさんが悩める大人のお悩みを解決しますよ。

 今日の相談者は東京都葛飾区■■■1-■■メゾン■■■3■■号室の佐藤■■さんですね。

「会社がクソブラックで毎日低賃金で残業残業残業で大変です。内部はパワハラが酷いし、取引先は無茶ばかり言うし、心療内科通いになりました。精神的に疲弊してるので転職活動もできません。毎日生きるのに精一杯です」

 ハイそんなときはドキドキさん手作りの素敵アイテムのお出番~~~~~!!!!!!!!

 ごめんね。ドキドキさんシリアスって苦手だから。

 ハイ本日のアイテムはこちら!『爆弾 ~弊社も御社も大爆発!~』。うん! シンプルな爆弾だよ! いつもがんばってる君を苦しめるやつらなんか爆発させちゃおうね!

 ドキドキさんが君の弊社と御社に行って優しく手作り爆弾を設置しちゃうよ! 無料だよ! 無料だよ! お金いらないよ! タダだよ! 

 ■■■■■■■■■■■まで電話してね! お父さんとお母さんには内緒だよ!


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 真夜中の東京で突然起きた大爆発。◆◆社と●●重工の本社、そして双方の上層部の自宅で起きた連続爆破事件。それらが連日ニュースを騒がせていた。

 幸い本社での爆発は奇跡的に死傷者はでなかったが、自宅に爆発物を仕掛けられた上層部の人間はのきなみ病院送りになった。しかも怪我をしたのは本人のみで、その家族は傷一つつかなかったという。

 どちらも酷いブラックだと知れ渡っている会社で、インターネット上では一斉に喝采が上がった。警察はテロの可能性も鑑みて捜査を進めたが、犯行声明の表明や、新たな爆破事件は起こらず、会社に恨みを持つ者の犯行であろうと推測された。

 そしてそれをきっかけにして、上層部が動けないうちにと思ったのか、両方の会社で次々と内部告発がされ、上層部の人間は回復次第逮捕されることとなった。

 けれど警察は首を傾げる。きっかけになった爆発事件では、そもそも何が爆発したのかがわからないのだ。通常何かが爆発したらその破片が飛び散るのに、それが一切ない。けれどガス爆発などの可能性は調査の結果否定された。

 その報を受けてインターネット上では、働かせられ過ぎた労働者の怨念が爆弾となって会社を崩壊させたのだ、などとまことしやかに噂された。


「こんにちは」

「こんにちは、佐藤さん」

 最近私の家の隣に建っている小さなアパートに引っ越してきた佐藤さんが挨拶をしてきた。近所のことなら何でも知っているお母さん曰く、佐藤さんは都会で働いてたけど、会社が潰れたので地元であるこの街に戻って再就職先を探しているらしい。

「ねえ、君は、その……お化けとか、不思議なものを見るって聞いたんだけど」

「うん。私には霊感があるの」

「夜中に……妙な番組を見たことはないかな。変なテンションのMCでさ……」

 そこまで言って、佐藤さんは首を振った。

「いや、ごめん。きっと夢だと思う。ごめんね時間とらせて」

 そして佐藤さんはどこかへと出掛けていった。

「お化けの番組……?」

 どんな番組なんだろう、と考えながら、私は図書館へと歩いて行った。




 

 

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