第8話 希望

それから栞は毎日のようにその男におもちゃにされた

栞は気に入られたらしく、こいつは栞しか呼ばなかった

ほぼ毎日こいつの相手をさせられ、こいつが呼ばない日は他の変態男の相手

毎回OUTを飲んでハイになってやられるがままおもちゃになった

マンションに戻ってもハイになり、長谷川が用意した食材でアンリが飯を作り、動物のように貪りつく

給料は向こうからいくらとってるか分からないが一回につき2万5000円もらえたらしい

正直殺さなければなにしてもいいからこの金額なんだとアンリは言っていたらしい

金曜日に必ず貰えるがみんなOUTで消える

一生抜け出すことの出来ないループにはまったように


そしてそれが2ヶ月以上続いていた


ある日一番最初にOUTをくれた子が壁に寄りかかり目に光が無くなり、死んだ目をしてヨダレを垂らし座り混んでいた

なにかブツブツ意味のわからないことを呟いている

「アンリさん!エミさんはどうしたんですか!?」

栞がアンリに聞いた

「壊れたの。ほら周りを見て。この子日に日にOUTの量増えてたでしょ?これ一回で4袋分、40錠一気に飲んだんだね。こうなるともう戻ってこれないのよ。栞も気をつけてね。」

泣きながらアンリは話した

彼女達は本当の地獄にいた

OUTを飲まなきゃ生き地獄

その上、効かなくなってくるから量が日に日に増えていく

そしてこうなれば意味のわからない頭の中の世界に永遠に飛ばされる

彼女達に未来はない


数分して長谷川が来た

この子を見るなり「あ〜あ。壊れてんねぇ。」

そう言いながら彼女を抱えてどこかに連れていった



栞はエミって子の姿を見てからかなりの恐怖にかられた

そして逃げることを決意した

OUTを過剰摂取したふりをした

栞は壊れた人はどこかに捨てられると考えた

そこで捨てられる時、逃げるチャンスがあると思い

壊れたフリをした

みんなそれに騙された

アンリは栞に抱きつき「ごめんね。ごめんね。」とひたすら謝りながら号泣していた

エミが壊れてから1週間ちょっとしか経っていないということもあり

栞はわざと過剰摂取し、壊れたんだとみんな思っていた

そして長谷川が来た

「栞ちゃーん。馬鹿だね〜。」

笑いながら長谷川はそういうと栞を担ぎ上げた

そして部屋を出て車のトランクにいれた

栞はトランクの中でどこかで必ずチャンスがある

ここから逃げて警察に行ってみんなを助けるんだと考えていた

20分くらいして車が止まりトランクが空いた

そこは今いるこの家だった

担がれたまま家の中に入っていった

薄眼をあけてみると

そこではじめて今井の姿をみた

栞は直感でこいつはヤバいと感じた

そのまま3階の部屋に連れてこられ閉じ込められた

長谷川が部屋を離れていくのを足音を聞いて確認し

目をあけて周りをみた


思わず叫び出しそうになった

一週間前に連れてかれたエミが犬のエサ箱にはいったものを犬のように食べていた

最小限の声で「エミさん!エミさん!」と近づいて背中を叩きながら声をかけた

ゆっくりとこっちを向いた

目は完全に死んだ目をしている

そこにはなにもなかったかの様にエサ箱に顔を戻した

いくら話かけても反応がない

完全に壊れてしまっていた


足音が近づいてくる音がして

栞はまた壊れたフリをした

扉を開けたのは今井だった

エサ箱に顔を突っ込みなにかを食べているエミをゴミを見るような目で見ながら

「きもちわるいなぁ」とつぶやいた

「どうしようかな?んー決めた!」

今井は独り言でそういうなりエミの顔を蹴り上げた

エミは声もあげずにひっくり返り鼻はひん曲がり折れ、大量の血を流しながらなにもなかったかのようにエサ箱に戻り貪りついた

「殴り殺し決定」

今井はそういうとエミの首を掴み床に背中から叩きつけた

馬乗りになり手に持っていたゴムハンマーで顔をひたすら、ただひたすら殴りつづけた

栞は絶望に陥っていた

そして自分がもうすぐ死ぬことを理解した

今井は10分くらい殴り続けたのち

「気持ちよかったあ。ああ最高だわ」と独り言を言いながら出ていった

足音が遠のいてからエミに近づくと

完全に殺されていた

顔の原型はなく潰されていた


栞は向こうにいたほうがよかったと後悔した

もう驚くことも出来なかった


また足音が近づいてきた

次は長谷川だった

「栞ちゃーん!いくよ〜!って!エミちゃんは完全に殺されちゃってるね〜!今井さんまじやばっ!」

なんて高いテンションでいいながら栞を担いだ


行き先は一回のリビング

そのままソファに降ろされた

リビングには今井と長谷川、あとリビングで俺が殺した2人がいた



しばらくしてインターホンが鳴った

長谷川が玄関に誰かを迎えにいった


戻ってきた長谷川が

「刑事の柳原さんです。」

と今井に伝えた


栞は助かったと思った


そして長谷川の後から柳原が入ってきた

その瞬間、栞は飛び起き柳原の後ろに隠れ

「助けてください!刑事さん!」と叫んだ


柳原は振り返りしゃがみこんで栞の顔を見ながら笑顔で答えた





「それは無理だよ。お金もらってるからね。ドンマイ。」

そういって肩を叩いた




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