第382話【ニイサン、ニイサン】

「ニイサン、 ニイサン、 イイシゴトアルヨ」


酒場から出ようとすると怪しいイントネーションで引き留められる滝。


「ん?」


振り返ると中華系の男が居た。


「マエバライデガソリン20リットルポリタンク1ツ

イライカンリョウデガドリンマンタンデジープモツケル」


かなり良い条件だ。

ガソリンもジープも高額で取引されている。


「どんな仕事だ?」

「ニノウケワタシ」

「敵は?」

「シラナイ」

「知らないって何だよ」

「デモホウシュウハタシカヨ?」


貯えが有る内に稼いでおきたい、 ここは話に乗る事にした。

しかし情報は欲しい。


「ガソリンの出所は何処だよ」

「トウヒンジャナイヨ」

「・・・俺の他にも誰か居るのか?」

「ン?」

「俺の他にも依頼を受けた奴は居るのか?」

「オー、 カイジンハンターノテッケルクロコ」

「てっける・・・・・鉄血黒子じゃないのか?」

「オーソノクロコー」

「黄金坂の他には誰が来ているんだ?」

「クローザキノミカタ」

「・・・・・・・・・狂い咲きの美方?」


美方 美咲、 女性怪人ハンターとしてはかなり名が売れていたが

流れ弾で怪我をさせた事でバッシングに遭い、 メディア嫌いになって

メディアへの露出が少ない怪人ハンターである。


「ソウソウ、 ソレカラヒャッキン」

「ヒャッキン・・・百万均一か!!」


百万均一、 本名白瀬 金一。

百万円で依頼を請け負う怪人ハンター。

ナイフ捌きは一流でスピード解決する事で有名。


「ソレカラウシオ」

「うしお・・・どっちのうしおだ?」

「ドッチノッテ?」

「でかい奴か? 小さい奴か?」

「デカイ」

「牛尾の方か」


牛尾 ミミズク、 巨体の怪人ハンターでパワー重視の男。

怪人と殴り合いをして勝利した事も有る強者である。

因みに潮と言う怪人ハンターも居るので混同しがちである。


有名な怪人ハンターが大勢いるのならば問題は無いのか?

と思う滝。


「ダケドソロソロジカンガタリナイヨ」

「時間?」

「トリヒキハコンヤハチジ」

「ふむ・・・良いだろう乗った」

「オーニイサンミルメアルネー」

「ふん、 じゃあ前払いのガソリンをよこせ」

「アイヨー」


早速、 男に案内され別の場所にあるガソリンを受け取り、 取引現場に向かう滝。

これが滝の人生を変えるとは誰も予想だにしていなかったのである。

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