27thSEASON

第380話【あ、そう、じゃあさようなら】

「滝さん達怪人ハンターは

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に違反していると思います!!」

「はぁ?」


滝は革命の日から怪人ハンターとして活動を行って来た。

色々な所を渡り歩き、 とある小さな町で怪人ハンターとしてやって来る怪人を

殺す定住の怪人ハンターになった。

このご時世珍しく無い事だろう、 地方自治体お抱えの怪人ハンターと言うのは良く有る事である。

国防軍の手が回らない所に居住するのはおかしい事では無い。

町に定住してから2週間が経った頃に妙な女がやって来た。

弁護士バッジをつけた眼鏡をかけた弁護士を名乗る女だ、


「いきなりなんだ?」

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は御存じですか?」

「怪人ハンターの資格関係の法律なら熟知しているが

生憎そっちの方には明るくない」

「第三条、 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない!!」

「ふーん、 まぁ今のご時世法律なんか知っていても仕方ないと思うが」

「いえ、 こんなご時世だからこそ人間としての法は守らないといけない!!」

「あ、 そう・・・それで弁護士の御嬢さん、 俺に一体何の御相談で?」

「えぇ、 今回この町から依頼を受けましてね」

「この町が訴えられたのか?」

「いえ、 法律の相談と言う所です」

「相談か、 それで?」

「貴方への依頼の支払いが高過ぎると言う所です」

「・・・・・怪人ハンターの依頼料は怪人ハンターと依頼人の合意で決定される

法的な上限は決まっているがそれに抵触する程、 高額な依頼料は取っていない」

「しかし貴方方怪人ハンターは談合したのかすべからく依頼料が高いじゃないですか!!」

「命を張っているんだから依頼料は高くて当然だと思うが・・・

じゃあ何か? お前はこの町の連中に俺への報酬を下げさせる為に雇われた、 と?」

「そう言う事です!!」


弁護士が自慢げに胸を張る。


「あ、 そう、 じゃあさようなら」


荷物を纏め始める滝。


「え、 あの、 何をしているんですか?」

「今の報酬でも結構安いのにこれ以上下げられたらやっていけないからな

この町を出ていく事にするよ、 じゃあな」

「え、 ちょっと!! 困りますよ!! この町の人達を見捨てるんですか!?」

「いや、 俺は俺を見捨てないだけだよ、 じゃあな」


そう言って外に出る滝だった。

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