第375話【死人の集会場】

村の中を進む夢宮、 集会場に誰か居るのかもしれないと思い集会場に向かう夢宮。

集会場に向かう時も磔の死体がそこらかしこに突き立てられている。


「・・・・・?」


磔の死体は全て同じ方向を向いている事に気が付いた夢宮。

だから如何したと言われればそれまでだが、 違和感を感じる。


「薄気味が悪い・・・」


今まで色んな村や町に行った。

公開処刑紛いの殺し方をする独裁者が居る所も有ったが

こんなサイコな村は今までに無かった。

本当に一体何が有ったのか、 兎も角夢宮は集会場に向かった。

集会場も死体の山だった、 文字通り死体が山となって積み上げられていた。


「・・・・・」


夢宮も眉を顰めた。

そしてまた一つ気が付いた、 この集会場の死体の山は全て女性で有る事。

よく考えれば貼り付けられた死体は全て男性だった。

だから如何したと言われればそれまでだが、 怖気を感じ始める夢宮だった。


「・・・・・」


もう村から去ろうかと思ったが折角なのでもっと調べる事にした夢宮。

集会場には大した物は無かった、 倉庫が有ったがそこには村祭りで使う様な

出店や太鼓等が有った、 他に有ったのはしゃれこうべ。

しかしそれはジョークグッズで本物では無いと夢宮には直ぐに分かった。


「・・・ん?」


倉庫の中を探すと乾パンの缶詰が有った。

未開封である、 賞味期限もまだ過ぎていない、 恐らく非常食料なのだろう。

そして水も有った。


「・・・・・食料の奪い合いで殺し合った、 んじゃないのか?」


食料の奪い合いで殺し合っても磔にする必要は無いと思い直す夢宮。


「と言うか明らかにおかしいだろ」


最早怪人の仕業では片付けられない村の異常性にげんなりし始める夢宮。


「・・・・・」


死体を調べよう、 そう思った夢宮は死体を調べる事にした。

集会場の死体、 女性の死体は全て刺し傷による物だった。

心臓を包丁の様な物で一突き、 或は何回か突かれた。

手にも傷が有った事から抵抗したのだろうと推測される。

磔にされた死体、 男性の死体は打撲による物だった。

殴り殺されたのだろう、 滅茶苦茶に殴られて殺されている。


「・・・怪人の仕業じゃないな、 この死体」


怪人が殴ったのならもっと酷い有様になるだろう。

包丁を怪人が態々使うか? という疑問も有る。

爪状の器官ならとも思ったが・・・明らかに不自然だと思い直した。

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