第376話【公民館】
公民館に来た夢宮。
役所と集会場の惨状から公民館もさぞ凄惨な状況になっていると予想した夢宮だったが・・・
「・・・・・???」
思いの外綺麗だった。
「・・・・・」
公民館の中に入る夢宮。
「・・・・・」
公民館の中は清掃が行き届いていた。
こちらの方が役所として使った方が良いのでは無いかと思う程に。
「・・・・・」
公民館の中を徘徊する夢宮。
「ん? 写真が飾られているな」
写真には握手をする老人と外国人が映っていた。
それも大量に、 同じ外国人と、 しかし日付が違っていた。
「・・・・・???」
何が何だか分からない。
「頭が可笑しくなりそうだ・・・」
もう帰ってしまおうか、 と思う夢宮。
「・・・・・」
公民会には二階部分も有るのでそこも調べてみる事にした。
何もせずに帰るのは駄目だろうと思い至ったのだ。
二階には展示物が有った、 書初めや絵、 彫刻等。
如何やら学生が作った物らしい。
「・・・・・ここには学校なんて無かった筈だ」
山の下に降りて通っているのだろうか?
「・・・・・」
展示物も何処か可笑しい。
書初めは『にななな』『ろっろ』『べりり』等、 意味が分からないひらがな
絵は様々な風景に東京タワーが書き加えられていた。
山や海、 街や宇宙に東京タワー、 全て後から書き加えられていた様である。
彫刻は全て青に塗られていた。
「・・・・・」
その場に座り込んで溜息を吐く夢宮。
「もういい、 村を一回りしたらもう帰る」
この村の異様さに付き合い切れなくなって来た夢宮。
怪人が居たら殺してもう帰る事を誓うのだった。
「さて・・・」
公民館から外に出て公民館を一周する。
公民館の裏側にラクガキがされていた。
”泣かないでくれ。
ぼくがしてきたことは、ぼくたちにとっていちばんいいことなんだ。
どうしようもないんだ。ぼくはこの憂鬱から絶対に逃れられない。”
夢宮は知る由も無いがこれは偉大な画家フィンセント・ファン・ゴッホが
遺したとある言葉の一部抜粋である。
その言葉がサイケな色のペンキで乱雑に描かれていた。
「・・・一体何がしたいんだ!! 一体何が有ったんだこの村に!!」
思わず叫ぶ夢宮。
誰一人その言葉に答えてくれる者は居なかった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
夢宮も精神的に疲労がたまって来た、 不味い状況である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます