第357話【捨てるか否か】

PLLLLと電話が鳴る。


「もしもし」

『斑です』

「如何しました?」

『獅子堂さんが公安に完全にマークされました』

「・・・・・どういう事だ?」

『えぇ・・・実は獅子堂さんの部屋に盗聴器が仕掛けられて

怪人の事を喋ったのがバレてしまった様です』

「・・・・・それで? 彼は今何処に?」

『窓から飛び降りました、 怪人になって』


机を思い切り叩く。

机は木っ端微塵になる。


「あの馬鹿がッ!! 人間が怪人になる事を知られたら不味いと

あれだけ言ったのに分かっていなかったのか!!」

『如何します?』

「獅子堂に連絡する、 お前は公安の様子を引き続き伺え」

『分かりました』


電話を切った。

そして獅子堂に電話をする。


『・・・もしもし』

「何故、 電話をかけて来たか分かるよな?」

『言い訳をさせて下さい』

「良いだろう、 お前も馬鹿では無い筈だ、 何か言い分が有るんだろう」

『公安の連中、 既に怪人が人間になる事を分かっていた様です』

「・・・・・馬鹿な、 何処でだ? 何処で情報が漏れていたんだ?」

『隠す必要はもう無いと判断し、 そして知っていて私が怪人だと思っていたので

直ぐに逃げる必要が有ると思い、 逃げさせて頂きました』

「・・・・・」


直ぐに思案し始めた。


『あの・・・』

「・・・・・」


電話を切った。


「・・・・・・・・・・・」


必死になって考えた、 これから一体如何するのか。

如何するのが一番利益になるのか?

それを考えた。


「・・・・・」


電話をかけた。


『はい、 もしもし立神です』

「私だ」

『如何しましたか?』

「獅子堂が使い物にならなくなった、 彼の権力はもう役に立たない」

『お、 となると私がこれから貴方のナンバー2、 という事ですか?』

「そうなるかな」

『ありがとうございますー、 それでこれから如何しましょうか?

元ナンバー2の獅子堂の始末でもしましょうか?』

「それよりももっと大きい事をこれから君にして貰う」

『もっと大きい事、 ですか?』

「君の部隊の初仕事が大仕事になってしまうがやれるか?」

『一体何をするつもりですか?』


一呼吸を置いてからこういった。


「今の状況はハッキリ言って最悪に近い

その最悪に近い状況をこの世界全てをひっくり返す

私の地位を投げ捨てるかもしれない大博打だ」

『良く分かりませんが・・・』

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