第356話【獅子狩り】

時間は少し巻き戻り、 首相とのテレビ会談が終わってすぐの事。

獅子堂は公安の自分の執務室でパソコンに向かって会談を行っていた。

そして会談が終わって、 直ぐに獅子堂は電話をかけた。


『もしもし』

「獅子堂です、 如何しましょうか?」

『恐らく、 小林が報告するのは怪人の正体が人間だと言う事だろう

この事実は表沙汰にはさせない、 小林には死んでもらおう

怪人の配備は大丈夫だな?』

「問題有りません、 直ぐに配備させている怪人達に連絡します」

『宜しい、 では事に入れ』

「分かりました」


獅子堂は電話を切った、 そしてパソコンで怪人達に指示を出した。

コンコン、 とノックされた。


「少し待って下さい」


獅子堂はパソコンを操作しながらそう言ったが

外に人々は関係無く入って来た。


「・・・・・」


指示は直ぐに送れたので問題無いが勝手に入室された事に不快感を示す獅子堂。


「何でしょうか?」

「獅子堂さん、 貴方に外患誘致の疑いがかけられています」

「・・・・・」


獅子堂はいざという時の為の備えはしていた。

自分を守る為に自身と怪人を結び付ける証拠を

直ぐに消去出来る仕組みは既に構築済みなのだ。

かちり、 と自身の携帯電話とパソコンに付けたスイッチを押してデータを削除した。


「・・・・・何か証拠は有るのですかね?

パソコンや携帯電話を調べて貰っても構いませんよ」

「・・・・・」


入って来た捜査官は一つの音声機器を取り出した。


「?」


そして再生した。


『問題有りません、 直ぐに配備させている怪人達に連絡します』

「!?」


獅子堂は自分の周囲を慌てて探した。

盗聴器が仕掛けられている!!


「こ、 これは違法調査だ、 証拠にはならない!!」

「少なくとも貴方が怪人では無いか、 という疑いにはなります」

「!?」


コイツ等は人間が怪人になる事を知っている!?

驚愕する獅子堂、 彼等は森永の子飼いの部下である。

最悪、 獅子堂を殺害する為にここに居る。


「・・・」


万事休す、 最早進退窮まったと判断した獅子堂は窓から飛び降りた。

自殺では無い、 獅子堂も怪人なのだ。

落ちながら獅子堂は自分の名を冠している通りライオンの怪人に変身したのだった。


どおん!! と落下した。

他の怪人を任されるだけあって身体能力は高いが危険を感じ、 その場から立ち去る獅子堂だった。

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