第332話【少し出て来ると癒し屋は言った】

時間は少し遡り、 西京のりんりん地区。

そのりんりん地区の廃屋の中に癒し屋達は居た。


「いやぁ最近は平和になりましたな」

「そうね」


ロケットランチャーが飛び交い、 ビルが爆破され

機関銃の銃声が鳴り響くまさに魔境だった西京も今では静かになった。

西京蝶蛾組、 二代目蝶蛾組、 三代目蝶蛾組、 大獅子維新会の四つ巴の第18次西京抗争は

西京蝶蛾組と二代目蝶蛾組が手を組んで大獅子維新会を襲撃した事で一応の決着を見たのだった。


癒し屋も最近暇になり世話役の男に相槌を打ちながら

もっしゃもっしゃと串カツを食べる日々を送っていた。


「鶴瓶と野木久保も指名手配されたし後は待つだけ・・・か」

「親の仇でしたっけ」

「そうだよ・・・」


そう言いながらタブレットの画面を見ていた

癒し屋はネットニュースを見ていた。


『速報です、 先程指名手配になった鶴瓶容疑者、 野木久保容疑者両名が

畑間市で発見されたとの事です』


その一言を見た瞬間、 即座に癒し屋は立ち上がった。


「ど、 如何しました?」


癒し屋の身の周りの世話をしている男が尋ねる。


「少し出て来る」

「え?」


そう言うなり即座に廃屋から出て走る癒し屋。

一気に街中を走り、 そして携帯電話が鳴る。

知らない番号だ、 その番号をメモして電話に出る。


「もしもし、 一体誰?」

『もしもし公安の美亜です』

「・・・・・あぁ、 この前の公安の女の人ね」

『ニュース見ました?』

「見た、 今畑間市に向かっている」

『向かっている!?』

「親の仇が居るんだもん、 行くでしょ、 必然的に」

『ちょ、 ちょっと』

「じゃあまた後でかけ直す」


そう言って一方的に電話は切った。

そして78に電話をかけた。


『癒し屋、 君も畑間に?』

「えぇ、 今から向かう所だよ、 駅に着いた」


西京駅に辿り着く癒し屋。


『僕もバイクで畑間に向かっている』

「分かった、 とりあえずこっちも電車で向かう」

『そうか、 気を付けて、 着いたら連絡してくれ』

「分かった、 言っておくけどあの二人を殺すのは私だ

先にやるんじゃないぞ」

『分かった、 痛めつけるだけにしておくよ、 だから急いでね』


そう言って電話を切った。

そして畑間行の切符を買って畑間に向かう癒し屋だった。


「待っていろよ二人共、 両親の仇、 嫌と言う程思い知らせてやる」

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