第297話【理解不能】

「ただいまー」


ホテルの部屋に帰って来た滝。


「如何だった?」


黄金塚が携帯を見ながら待っていた。


「俺が行った後は殆ど終わっていた・・・

何でも78とか言う怪人を殺す怪人が出たらしい」

「その動画、 ネットに上がっているよ」

「マジか、 見せて」


動画を見る滝。


「こいつ・・・前に一度見たな」

「マジで?」

「昔、 怪人を横取りされた事が有る」

「そうなの・・・」

「でもコイツ一体何だって言うんだ、 訳が分からん・・・」

「怪人を殺す怪人78・・・都市伝説とばかり思っていたけど実在するなんて・・・」

「意味が分からん・・・TVを見て見ようか・・・」


TVを点ける滝。


『南国空港に現れた謎の怪人、 ネット上では怪人を狩る怪人78と同一視されてますが

現在C2号部隊が調査中です、 そして同盟国から声明が有る様です』

「声明?」

「同盟国から?」


テレビの声をオウム返しする滝と黄金坂。


『同盟国と中継が繋がっています、 現地の木間さん?』


テレビの画面が切り替わる、 記者会見の場の様だった。


『はい、 木間です、 同盟国大統領からの声明が今、 発表されます』

『如何言った発表なのでしょうか?』

『それはまだ・・・あ!! 今ランプ大統領が出て来ました!!』


フラッシュが焚かれながら同盟国大統領ドナルドト・ランプが現れた。


『我が国は南国空港に現れた怪人、 通称78を人間に対し友好的な怪人と見做し

積極的敵対行動を取る事をしないとここに宣言する』


驚愕する記者達。


『それは大統領個人の意見ですかー!?』

『いや私個人だけの意見では無く、 緊急議会で決定した事だ』

『怪人を友好的な存在として見るのは問題が有るのでは無いのですか!?』

『怪人全てを人間と敵対的な存在と見るのは誤りだと私は思います』

『相手は意志疎通が出来ない存在ですよー!!』

『声明は以上です』


大統領が立ち去る。


『逃げるのかー!?』

『ちゃんと説明しろー!!』


TVを見てあんぐりと口をあける滝。


「俺は今、 何を見たんだ・・・?」

「怪人を友好的な存在・・・? 一体何を考えているんだ・・・」

「何もかも分からねぇ・・・」


大統領の思惑を測りかねる二人だった。


「如何やら78と言う怪人は俺が思うよりも遥かに複雑な事情が有るようだな・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る