第288話【刃弾獅子像】

刃弾獅子像にやって来た滝と猫。

少し高い丘の林の中に刃弾獅子像は設置されており海も見える絶好のロケーションである。


「結構人居ますね」

「怪人が出るとか言う噂なのになぁ・・・平和なもんだよ」

「ちょっと写真撮っても良いです? ツーショットで」

「えー・・・何でだよ」

「ここ一応観光名所ですし良いじゃないですかー」


写真を撮った後には

適当に出店でサーターアンダギーを買って食べながら周囲を散策していた。


「・・・・・何だか調べても何も居ませんねぇ・・・

怪人ハンターの勘で怪人が居るか分かりませんか?」

「そんなん分かるかよ・・・」

「んーじゃあ如何します? ホテル帰ります?」

「そうだな・・・」

「私はビジネスホテルですけど滝さんは如何です?」

「いや普通のホテルだけど」

「そうなんですか、 じゃあここで別れますか」

「え? あ、 あぁそうだな、 じゃあな」


てっきりホテルまで付いてこられると思ったので拍子抜けした滝。


「さてと・・・じゃあ俺もホテルに帰ろうかな・・・」

「あの・・・怪人ハンターの滝さんですよね?」


またか、 と振り返る滝。


「そうだがサインならお断りだぞ?」

「サイン?」


首を傾げられた。


「・・・何でもない、 それでお前は誰だ?」

「あー・・・ドリームって言います」

「ドリーム?」

「ハンドルネームですね、 怪人活動板で活動しているんですが・・・」

「ネットの事は良く知らない、 それで? 俺に何の用だ?」

「ちょっと気になる事が有りまして専門家に尋ねたいんですよ」

「気になる事?」

「えぇ、 こっちなんですが・・・」


ドリーム、 もとい夢宮に案内される滝。


「これなんですが・・・」

「これは・・・」


夢宮の案内された先に有ったのは引っ掻き傷が付いた木だった。

それもやたらめったら引っ掻いたかの様にズタズタにされていた。


「これってやはり怪人の仕業ですかね」

「うーん、 如何だろう、 これだけでは何とも言えないが・・・

怪人じゃなかったにせよこの付近に

木にこんな傷をつけるヤバイ奴がいる事は間違い無いという事だ」

「そうですか・・・」

「何れにせよヤバいな・・・おっそろしい所だぜ南国

イカれたファンに出くわすわ、 こんな現場を見るわ、 碌な所じゃねぇ」

「じゃあ何故ここに?」

「仕事だよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る