第289話【南国は恐い所】

「仕事? じゃあやはりここには怪人が居るのですか?」

「ちげーよ、 怪人ハンターとしての見識を活かした仕事だ」

「見識?」

「怪人ハンター的に見てここは如何ですか、 とか対怪人リスクの判定みたいなもんだな」

「へぇー、 そういう仕事も有るんですね」

「そう言う事だな、 じゃあ俺はこの辺で」

『GIーNY!!』


咄嗟に頭を伏せる滝。

後ろから猫科の怪人が襲い掛かって来たのだ。


「怪人!?」

「下がってな!!」


懐に忍ばせた対怪人拳銃を全弾怪人に向かって撃ち尽くす滝。

猫科の怪人に全弾命中して怪人は息絶えて爆発した。


「・・・・・マジで怪人居たのか・・・」

「如何した!?」


銃声と爆発を聞きつけて人だかりがやって来た。

滝は周囲に説明した後に警察への事情聴取の後、 ホテルへと向かった。

既に夜になっておりバタリとホテルのベッドに横になる滝。


「全く・・・何て一日だ・・・」


コンコンとホテルのドアがノックされる。


「うん? 誰だ?」

「黄金坂だよー、 さっき警察から連絡来たけど怪人出たってマジ?」

「マジだ、 それなり何用だ?」

「いやぁお仕事お疲れーと思ってねお酒でも如何?」

「明日から仕事だろ?」

「まぁまぁ一杯位・・・」

「・・・しょうがないな・・・」


部屋の中で二人で軽く呑む事にしたのだった。








その頃、 刃弾獅子像では複数の猫科の怪人達が集っていた。


『流石は歴戦の怪人ハンター、 一人では駄目だったか』

『だからコンビで行こうって言ったでしょ』

『ボスからの指令だったんだからしゃあないって』

『だけどさぁ、 明日にはもっと来るんでしょ?』

『あぁ、 だがしかし其方は別件での仕事だ』

『別件ねぇ・・・こっちはこっちでやっておけって事ね』

『その通りだ』

『その話、 詳しく聞かせて貰えるかな?』


怪人の姿になった夢宮が怪人達の元にやって来る。


『野良の怪人か』

『いや南国の野良怪人は皆殺しにした筈だ』

『野良? 君達は誰かに飼われているって事か?』


怪人達は沈黙する。


『返答は無し、 か

やれやれ本当に南国は恐い所だな』

『そうだな、 だが安心しろ、 あの世はもっと恐ろしい

おいお前は一応逃げろ』

『あいさー』


猫科の怪人の一体が逃げる。


『おい、 待て』

『行かせるかよ』


怪人達は爪と牙を剥き出しにし

夢宮は剣と盾を甲殻で形作った

そして激突する夢宮と怪人達。

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