第281話【第一印象】

ノーバライ英会話塾。

元々は近所の子供達に英語を道楽で教えようと始めたのが切欠である。

今もそのスピリッツは残り続けており

近所の暇な在日外国人が寄り集まって英会話を教えている。


講師の一人のノーレライ氏は今日も張り切って英会話を教える。


「今日の生徒さんは二人か・・・」


暇人が多いので基本的にマンツーマン、 多くても生徒三人に教師一人で教えている。


「それじゃあ行きますか」


職員室から生徒の待つ教室に向かうノーレライ。


「ぐっもーにん」


教室のドアを開けるノーレライ。

教室に待っていたのは2m以上の巨体の筋肉質な男と

見るからに不良そうな少年。


「・・・・・」


ドアをそっと閉じるノーレライ。


「見間違いかな・・・世紀末漫画の主人公っぽい奴が居た様な気が・・・」


ドアを開ける。

やはり何かの伝承者の様な男が居る。


「・・・・・・・えーっと・・・保護者の方?」

「ぜいどだ」

「あ、 はい・・・」


諦めて教室の中に入るノーレライ。


(何だコイツ・・・さっさと始めろよ)


誠也は内心そう思っていた。


「えーっと・・・じゃあ君達二人に英語を教えるノーレライです」

「佐奈凪 康太でず」

「御手洗(偽名)です」

「はい、 えーっとじゃあまずはどれ位を英語話せますか?」

「いや、 話せる訳ないだろ」

「なんのだめ”にえいがいわじゅぐにきでい”るとおも”っでるんだ」

「あー、 でも高校とかでも多少話しているじゃない」

「英語は赤点だ」

「ごっちはれえでん」

「・・・」


頭を抱えるノーレライ。


「零点ってマジか、 本当に取れる奴居るんだな」

「ぜんぜいがらもおなじごどいわれだ、 でもめっぢゃむずがじい”でずどで

へいぎんでん42でんだった」

「平均点42って難しくしすぎだろ」


寧ろ全員馬鹿だったんじゃないかなと言いたいノーレライだったが堪えた。


「みだらいだっげなんがおま”え”どばながよぐなれぞうだな」

「うーん、 どうだろうな、 パパっと英語を覚えてしまいたい所だ」

「勉強熱心なのは良いですね、 好感が持てますよ御手洗君」

「それはどうも」

「おれだっでえいごおぼえだいぞ!!」

「あ、 うん、 ごめんなさい、 じゃあ始めましょうか

テキストの最初のページを開いて下さい」


こうして英会話の授業が始まるのだった。

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