20thSEASON

第282話【合同演習】

C2号部隊の基地の一角、 掲示板の前に人だかりが出来ている。

そこに張り出してあったのは『南国合同演習の報せ』である。

この作品の舞台である国は日本では無いが

日本国民に分かり易く言うとここでいう南国は沖縄と同義である。


「合同演習? 何処と?」

「自衛隊とじゃね?」

「いや・・・これは・・・あ、 兄坂教官、 良いですか?」

「あら? どうかしたのかしら?」

「この南国合同演習とは何処の部隊と合同演習をするのですか?」

「駐屯軍とよ」

「駐屯軍とですか?」


駐屯軍とはこの国に駐屯している同盟国の軍隊である。

同盟国はこの国の近くに存在している共和国に対して強い警戒心を持っており

この国に軍を駐屯させる事で共和国に対する抑止力としているのだった。


「何故対怪人部隊の我々が駐屯軍と? 駐屯軍の仮想敵は共和国でしょう?」

「そうなんだけど、 この前のノギクボ本社スタンピートで

人為的に怪人が現れたでしょう? もし共和国が怪人を使って来た時に

怪人の対応策が分かりませんでは話にならない」

「なるほど・・・」

「しかし南国まで我々が行くのですか・・・」

「あら、 バカンスには丁度良いじゃない」

「休みで行くんじゃないんですよ」

「軍人さんはお堅いわねぇ、 おっと私も今は軍人さんだったか」


ほほほ、 と笑う兄坂。


「今回の訓練ですが居残りはやはり戝部さんに?」

「あら? 何でかしら?」

「いや、 足を失ってからずっと留守番をしているじゃないですか」

「それが今回は佐々島さんが残るらしいのよ」

「佐々島さんが?」

「そうなのよ、 佐々島さんにはお土産に紫芋タルトを買って来て欲しいって言われちゃったわ」

「最近話題になっていますね、 でも何で今回財部さんが来るのですかね?」

「何でも財部は今回、 どうしても同行しなくちゃいけないらしいのよ

あの脚で一体何をするつもりなのか知らないけど・・・

まぁ彼の事だし、 ただ観光したいとかそんな理由じゃないでしょう」

「うーん、 どうなるんでしょうか・・・」

「教官殿、 この合同演習はSNSでアップしても良いですかー?」

「良いわよーC2号部隊公式ブログでもアップしているしねぇ

そろそろ公式SNSアカウントでも取得した方が良いかしら」


そうやってわいわいやっている兄坂達だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る