第257話【ごちそう】

『如何した?』


黒崎と電話が繋がる魚目。


「如何したじゃない、 この老人ホームにC2号部隊が身内に居る奴が

居るらしいじゃ無いか、 大丈夫なのか?」

『初耳だな・・・だがアンタそんなに有名じゃないだろ?』

「まぁ有名か有名じゃないかならば有名じゃないな

それでも論文を出したりとかしているし、 調べられたら儂とノギクボの繋がりは分かるだろう」

『・・・これはヘマったかもしれないな・・・』

「ヘマったかもしれないなじゃない!! 儂の身の安全がかかっているんだぞ!!」

『・・・とりあえず、 そこから離れた方が良いかもしれないな

その老人ホームの上と掛け合って直ぐに移転して貰う様に言っておこう』

「頼むぞ」


魚目は電話を切った。


「ふぅ・・・飯に行こうか」


部屋の外に出る魚目。

そして食堂に向かう。


「魚目さん、 生魚は平気ですか?」


ハジメが訪ねて来る。


「平気だが、 刺身でも作るのか?」

「えぇ、 先程良い魚が届きまして」

「生魚は好きだが個人的には油を感じたい」

「大トロが好みですか?」

「大トロは好きだが、 そう言う訳じゃない

焼き魚とかアジフライとかが良いという事だ」

「マグロなので・・・」

「良く手に入ったなマグロ」

「今から解体してくれます」

「一本丸々手に入ったのか、 とんだごちそうだな

と言うか解体するのか」

「施設の皆で食べられますね」

「それは良いがカマトロの部分は渡さんぞ」

「せせりを頂きますので良いですよ」


くつくつと笑うハジメと魚目。


「しかしマグロの解体って力が要るんじゃないのか?」

「えぇ、 そこは解体してくれるので大丈夫です」

「解体してくれる?」

「えぇ、 入居者の身内の方が釣って来て解体もしてくれると言う事で」

「マグロを釣るって遠洋漁業でも行って来たのか?」

「何でも休日だったらしくて」

「休日でもマグロ釣る程遠くに出んわ

しかし凄いパワフルなんだな」

「えぇ・・・あ、 来たみたいですよ」

「お待たせしました」


解体されたマグロの乗った皿を持ってやってくる一人の男。


「・・・・・え?」


魚目は目を疑った。


「嘘だろ?」


マグロを持って来た男。

その男は獅子堂 怜雄、 C2号部隊の事実上のトップと言っても良い男だったのだ。

その男が割烹着を着てマグロを持って来ている。

その事実に頭がフリーズしたのだった。

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