第242話【そっちに行く】

落ち着いた合田は浦吉に電話をかけた。


「頭、 合田です、 野木久保さんと鶴瓶さんが

phantom energyの解析を終わりました」

『そうか、 じゃあそっちに行く』

「ここに来るんですか?」


合田が誠也を見る。


「別に構わないが・・・」

「お、 御言葉ですが、 こちらから資料を持って行きますよ?」


合田が誠也の言葉を遮って喋る。


『何度も言わせるな、 直ぐにそっちに行く』

「え、 えぇ・・・」

『待ってろ』


ガチャリ、 と電話が切られる。


「・・・・・この幽霊屋敷にまだ居なきゃなんねぇのか・・・」


肩を落とす合田。


「と言うか何でこの屋敷に幽霊が居るんだよ」

「ダチが処分に困った死体を地下においてあるから・・・かな」

「ちゃんと葬儀出してやれよぉ・・・」


泣きそうになっている丸太。


「まぁ・・・気が向いたら」


バンッ!! とラップ音が響く。

銃を上に向かって撃って威嚇する。


「怒ってるじゃんかぁ・・・」

「もうこの家嫌ぁ・・・」

「ヤクザなんだからちゃんとしろよ」

「ソウダソウダー」

「お前等・・・」


こんな微笑ましいやりとりをこなしながら浦吉が来るのを待っている誠也達。

そうこうしているうちに浦吉がやって来た。


「随分と山奥に住んでいるんだな・・・」

「まぁね」


ドンドンドン!!とラップ音が響く。


「何だ?」

「この屋敷、 幽霊が居るからね、 ラップ音とか五月蠅いけど気にしないで」

「そうか・・・じゃあ早速報告を聞こうか」


ドンドン!!


「じゃあ私から説明しよう」


鶴瓶が前に出る。

ドンドンドン!!


「まず、 この薬は人間を怪人に変える薬だと言う事が分かった」

「それは何となく察している」


ドンドンドン!!ドンドンドン!!


「但し効果は不安定、 モルモットに投与したら死んだのもいる」

「リスキーだな・・・」


ドドン!!ドンドンドン!!


「・・・成分とかは分かったか?」

「一応は・・・」

「再現」


ドンドンドン!!ドンドンドン!!ドンドンドン!!ドンドンドン!!


「あー!! さっきからドンドンうるせぇ!! もう一回ぶっ殺すぞ!!」


浦吉の一喝が効いたのかラップ音が止んだ。


「・・・・・大人しくなったか」

「さっきも銃声で大人しくなったからな

大きな音に弱いのかもしれない」

「幽霊には脅しが効果的か、 新説だな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る