第239話【五人の供述】

ヤクザ達の話を纏めるとこうである。

細目のヤクザ、 合田はスキンヘッドのヤクザ、 丸太と共に釣りに出掛けた

途中で舎弟の金上、 瓜生、 柳原を拾って船上での釣りを楽しんだ。

朝方から釣って、 昼食を船上で済ませて夕方になった頃にさぁ帰ろう

と船から降りた時に合田の携帯電話が鳴った。


電話の相手は浦吉で最近出回っている

phantom energyと言う薬の密売人を捕まえたというものだった。

だから如何したと言う話なのだが一応連絡と言う事で連絡したらしい。

phantom energyについては前々から情報は有ったが実態が掴めず

歯痒い思いをしていたので浦吉は上機嫌だった。


その後、 スーパーに寄って色々食材を買った後にまた電話がかかった。

切羽詰まった声の浦吉だった、 すぐさま浦吉が拷問に使っている貸倉庫に

急行した五人、 他にもヤクザの応援が来ていた。

浦吉は腕を切られていた。

驚く間も無く異音が響く、 貸倉庫の中に入るヤクザ達

倉庫の中にはヤクザ達の死体と異形の生き物が居た

右腕のみが鱗状になり指と指の間に鰓が出来ている人間だった。


ヤクザ達は銃を乱射してその怪物に撃ちこみ続けた。

怪物は怯んだが致命には至らず尚も暴れ回り数名のヤクザが犠牲になった。

しかし怪物にもダメージが有り、 何十発もの銃声の後に怪物は倒れた。


一体何事が有ったのかと浦吉に尋ねる合田。

浦吉によればphantom energyの密売人を貸倉庫に連れて来て

拷問を始める寸前にphantom energyを自らの体に注射してあの様な姿になったと語った。

phantom energyはまだ有ったので調査の為に浦吉が知る賢い奴として

誠也に白羽の矢が立った、 と言う事なのだった。


「・・・と、 こういう事です」

「なるほど・・・」


誠也は腕組みをしながら納得した。


「その密売人って言うのはどんな奴だった?」

「腕を除けば、 その辺に居る様なヤンキーでしたよ

ヤクを売るよりは自分で使うタイプの人間です」

「そうか・・・まぁ良いだろう、 薬の調査は明日から始めよう

薬はこれ一本だけなのか?」

「いや、 まだ何本か有るだろう・・・」

「そうか・・・必要になったら連絡しようか、 じゃあ俺も寝るわ・・・」


伸びをする誠也。

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