第228話【世の中金】

「兎にも角にも金だ、 何か金になる物を探さないと」

「有るじゃないか」

「何が?」


鶴瓶が誠也を指差す。


「君、 大麻の怪人じゃないか、 それならば大麻を大量に仕入れて売る事が出来る」

「・・・・・・・・・・無理だな」

「無理? 何で?」

「俺、 合成麻薬の売人をやった事も有るんだが・・・

麻薬の売人の縄張りは結構厳しいんだよ」

「そうなの?」

「そう、 合成麻薬と大麻ならば共存出来るが、 大麻を売っている所に

大麻を売りに行くのは喧嘩を売っていると捉えかねない」

「ナルホドネー」

「(何かをマーチンに言っている)」

「(ポナタにマーチンが返答する)」

「(マーチンに再度言い返す)」

「ポナタカラテイアンダケドモ、 カイジンナンダシ、 タタカッテモイインジャナイノ?」

「・・・それもそうか」

「いや、 実力行使は最後の手段にしておくべきね」


誠也が納得しかけると鶴瓶が止める。


「何故?」

「あんまり派手な動きをするのは危険よ、 少なくとも今は」

「・・・気を付けて損する事も無いしそうしますか

だけども一体どうやって金を得るか」

「チンピラ狩りもあんまり多用したくはない

金を持っているかどうかは運任せって言っても良いし」

「確かになぁ・・・じゃあ如何する? オヤジ狩りでもします?」

「可哀想な気もする・・・」

「ウチノクニジャア、 イキテイクタメニゴウトウスルノハアタリマエダヨ」

「修羅の国なのか? ここは原点回帰で合成麻薬を作るか」

「合成麻薬ってそう簡単に作れるの?」

「簡単には行かないが、 合成麻薬の研究室を作って有る

いざと言う時の為の備えって奴だな」

「頼もしいねぇ、 その研究室って何処に有るの?」

「山ん中の洋館」

「・・・山?」


誠也は指差した方には山が有った、 だがかなり遠い。


「・・・あそこまで歩くの?」

「ウチノクニジャアトホガキホンダヨ」

「(何かを言っている)」

「ソレモソウダネ、 ナニカタベモノモモッテイコウッテサ」

「向こうに非常食を置いてある、 それを食べれば良い」

「ナニガアルノ?」

「カレーとかおかゆとか色々日持ちがする物を置いてある」

「カレー?」

「お前の国にはカレー無いのか」

「・・・サッキマチナカデミタ、 アレヲタベルノ? ナンカミタメガ・・・」

「・・・・・言いたい事は分かった、 嫌なら食うな」

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