第218話【レバニラ炒め】

「最期の晩餐って奴か」

「今は昼前だけどな、 何が喰いたいんだじーさん

あんまり凝った物は出来ないぞ」


黒崎が尋ねる。


「何でここで喰う前提何じゃ、 外に喰いに行こう」

「えー逃げるかもしれないし・・・」

「アンタ等も来れば良いじゃろ、 老人の足腰に追い付けない訳は無いじゃろ?」

「それは良いけどさ・・・何が喰いたいんだ?」

「レバニラ炒め」


即答する魚目。


「レバニラ炒め? 最後の晩餐が?」

「好きな食べ物なんじゃよ、 レバニラ炒め

学生の頃、 良く食ったのぉ・・・最近は研究所で缶詰だったら喰えてないんじゃ

あとビールも」

「ビール? 昼間から?」

「最後の晩餐に酒は付きものじゃろ」

「本家はワインだったけどな」

「ワイン飲みたいけどそこら辺の店にワイン無いじゃろ?」

「うーん、 中華なら紹興酒の方が良いんじゃねぇのか?」

「肉にはビールじゃろ」

「子供の僕らには分からないな」

「そうね」


会話について行けない夢宮と癒し屋。


「じゃあ近くの中華屋にでも行ってきな」

「分かった、 行こう」


夢宮と癒し屋は魚目を連れて近くの中華専門店に向かった。


「いらっしゃいませー」

「三人です」

「こちらの席にどうぞー」


席に案内される夢宮達。


「御注文お決まりでしょうかー」

「レバニラ炒めと御飯大盛りとビール」

「それでしたらレバニラ炒め定食御飯大盛りとビールの方が安いですが」

「じゃあそれで、 お前達は?」

「じゃあカツカレーで」

「ねぇよ」

「じゃあ・・・角煮定食で」

「私は春巻きとごま団子で」

「はいはいー」


ウェイトレスが立ち去る。


「あんまり混んでないな」

「平日の昼前だからね・・・」

「それもそうか・・・」


そんな事を話している内に注文していた品がやって来た。


「いただきます」

「・・・いただきます」

「???」


いただきますと言う魚目、 続けていただきますと言う夢宮。

習慣が無いのか癒し屋は首をかしげている。


旨そうに一気にレバニラ定食を喰らう魚目、 途中でビールと御飯をお代わりした

その食欲に目を見開く夢宮と癒し屋。


「良く食うなぁ・・・本当に老人か?」

「んぐんぐ・・・まだまだ若いもんには負けんよ」

「はぁ・・・・・」

『ここで臨時ニュースです!!』


中華屋に備え付けられていたテレビから臨時ニュースが流れた。

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