第216話【大スクープ】

『御覧頂けるでしょうか!! 現在ノギクボ製薬本社から火の手が上がっています!!』


ヘリコプターから女性アナウンサーが報道している。

ノギクボ製薬本社ビルから火の手が上がり、 叫び声が聞こえる。


『国内最大手薬品製造メーカーノギクボ製薬が大量の怪人に襲われています!!

あ!! 今C2号部隊が突入しました!!』


カメラがシステムC2を起動するC2号部隊を捉える。


『怪人の数は数え切れません!! 一体中で何が行われているのでしょうか!?』


ドコォン!! と爆発音が響く。


『現場からは以上です!!』


ピッ、 と黒崎がテレビを消す。


「ノギクボの本社が怪人に襲われているだって・・・信じられない・・・」

「俺にとってはこの状況が信じられないよ、 何だこりゃ?」


魚目を連れて黒崎に元に戻って来た癒し屋と夢宮。


「いやぁ、 何か情報を得られるかと思ってね」

「まぁそりゃ良いけどよ、 拷問するか?」


針を見せる黒崎。


「いや、 この二人は命の恩人だ、 出来る限りの事を話そう

だからその針はしまえ」

「分かった」

「じゃあ色々と聞きたい事は有るが・・・

まず始めに何故人間を怪人にしようと思ったんだ?」

「確かにそれは気になるね」


夢宮の発言に興味津々な癒し屋。


「・・・儂の実の兄が怪人だったんじゃ」

「何だと?」

「当時・・・今から70年以上前か、 この国が大国と戦争をしていた時の話だ」


魚目が語り始めた。

当時、 魚目が住んでいた集落では理不尽な差別が行われていた。

どんな差別かは重要では無いので省くがそれは凄惨な物だったらしい。

怒りに燃えた魚目の兄は怪人となり差別を行っていた村人を殺し尽した。

その後、 怪人となった自らを不浄と定めた魚目の兄は自害した。


「・・・それで儂は怪人の研究を始めたんじゃ」

「何でそこで怪人の研究を始めたんだ?」

「自らの手で怪人を造り出せれば怪人に対抗出来る

だが怪人の正体が人間だと分かってはならない」

「何故?」

「怪人の正体が人間だと分かって見ろ

疑心暗鬼で互いを殺し合う世界が出来上がるだろう

『アイツ怪人っぽい』『お前こそ怪人だ』とかそんな社会だ

儂が住んでいた集落の差別の再来、 そんな社会にする訳には行かないんじゃ」

「・・・」

「しかしノギクボの会長や重鎮には話した、 資金が必要だったからな」

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