第211話【強化怪人】

『さて・・・これから如何するか・・・』


エスカレーターを登りながら喋る夢宮と癒し屋。


『ここのお偉いさんを捕まえて色々吐かせよう』

『それが良い・・・ん?』


エスカレーターを登り切った先に怪人が居た。


『また怪人か・・・ッ!!』


ドゴンッ!! と怪人が一気に距離を詰めて夢宮を殴り飛ばした。

癒し屋の頭の上を通過して一気にエスカレーターの一番下迄転げ落ちた。


『78!!』

『くっ・・・がはっ・・・』


甲殻がひしゃげ砕ける夢宮。


『らぁ!!』


包丁で切りかかる癒し屋、 しかし怪人は飛び下がり回避した。


『今までの奴とは何もかも違う!! 何なんだコイツは!!』

『ふふふ・・・俺はフルスコップ10を投与した怪人だ』

『フルスコップ10?』

『良く分からんが打てば強くなる薬だ・・・これでお前等を殺す!!』

『・・・やってみろ!!』

『行くぞオオオオオオオオオオ!!!』


迫る怪人、 癒し屋は粘液を自分の前に撒き散らした。

怪人が物凄い勢いで走っている為、 粘液に足を滑らせて転げ落ち

登って来た夢宮と一緒にエスカレーターの一番下まで落ちて行った。


『くっそお・・・何をす』


ぐさり、 と甲殻の剣で頭部を切り取る夢宮。


『はぁ・・・はぁ・・・』

『大丈夫か? 治すよ』

『頼む・・・』


粘液を夢宮がダメージを受けた所に塗りたくり、 傷を回復させる。

見る見る内に砕けた甲殻が直り、 傷が癒えた。


『凄いな・・・』

『でしょー・・・さて、 まだまだ居るみたいよ』

『ん』


フルスコップ10を投与されたと思われる怪人が数体、 待ち構えていた。


『ならばこっちもドーピングと行こう』

『そんな事出来るの?』

『あぁ・・・正確には第二形態?』

『???』


夢宮は意識を集中させた、 体を大きく強くするイメージを持つ事で

以前、 美鈴を倒した時の様な巨大な三葉虫の姿に意識的になる事が出来る様になった。

巨大な三葉虫の姿になる夢宮。


『な、 なんだアレ!!』


敵が叫ぶがそんな事はお構い無しに突っ込んで行く。

怪人達も殴りかかるがそんな事は関係無いと言わんばかりに次々と怪人達を殺す夢宮。


『凄いな・・・』


癒し屋は言葉を漏らした。


『まるで小さな怪獣だな・・・』


そして通常の怪人態に戻る夢宮。


『ん、 もう終わりか?』

『はぁ・・・はぁ・・・意識的に使うのには短時間が限界と言う事だ』

『なるほど』

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