第204話【黒崎医院】

「黒崎、 私だ、 開けてくれ」


少女がドアに向かって言う。

しかし返事が無い。


「・・・・・」


少女は左腕を植物状にして六頭を絡ませて拘束してドアを蹴破った。

ドアは如何やら蹴破った後に立てかけられていた物らしく、 簡単に外れた。


「・・・・・」

「もご!! もご!!」


少女は六頭を拘束しながら入って行った。

六頭には猿轡状に植物を絡ませて口を塞いだ。

待合室には誰も居らず、 そのままつかつかと診察室に入る。

そこにはこの黒崎医院の医者である黒崎 ハジメと夢宮の姿が有った

そして黒崎は夢宮に無理矢理押し倒されて拘束されている。


「・・・・・黒崎、 何しているんだ?」

「来たか癒し屋!! お前に客だ!!」

「客?」

「君が癒し屋か、 怪人だろ、 君?」

「まぁそうだね」

「君を殺しに来た」

「何故?」

「怪人だから」

「・・・・・怪人を殺す都市伝説の住人【78】か」

「君も都市伝説だろ【癒し屋】」

「・・・・・怪人を殺す

と言うのならもっと良い話が有る

協力しろ78」

「協力だと? 悪いが僕は怪人を殺す事に対しては容赦も躊躇も無いんだ

君を殺すのに我慢出来ない」


血走った眼で少女を見る夢宮。


「+2」

「?」

「私に協力すれば二人多く怪人を殺せる

それならば如何だ?」

「どういう事だ?」

「交渉は成立かな?」

「話を聞くだけ聞こう、 聞いたから判断する」

「そう、 じゃあとりあえず黒崎を話して貰えるかな」

「そっちもその人を離せ」

「怪人の居場所を知っているのは彼だ」

「何だと?」

「おい・・・良く見たらそいつ六頭じゃないか」


黒崎が拘束されながら言う。


「知り合いか?」


夢宮が尋ねる。


「昨日、 テレビで出ていた奴だ、 お前こいつを探していたのか」

「えぇ、 そうね、 昨日テレビで見て全て思い出した」

「待て待て二人で納得するな、 とりあえずこのお医者さんを離すから

その代わりにお前の事情を話して貰おう」

「良いだろう、 じゃあまず話を始めようか

何処から話を始めようか・・・」

「最初からでいいんじゃねぇのか?」

「それもそうだな・・・長くなるけど、 良い?」

「なるべく手短に話してくれ」

「無理だよ」

「無理?」

「これは私の生まれる前からの話なんだ」

「生まれる前? 本格的に何言ってんだお前?」

「色々有るんだよ・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る