第152話【ビジネスチャンス】

「やばいだがねー・・・」


ダガネ物産(株)と言う会社の一室で頭を抱えるダガネ物産の社長

名古屋 鏨は悩んでいた、 自らの肝いりで造り出した新製品。

『非常食液体たい焼き』が思った以上に売れなかった。

ネット上で話題になるかなと思って作ったこの商品

ネット上でもまるで話題にならず一切売れなかったのだ。

その為、 在庫の山に頭を悩ませている最中である。


「一体如何すれば良いだがねー・・・」


何か良い案が無いか思案するも何もアイデアが浮かばない。


「社長!!」

「おぉ!! 営業部長!! 待ってたがねー!!

如何だったがねー!? 売れたがねー!?」

「いえ、 それが私の実家が大変な事になってしまい・・・

家族の安否を確かめる為に有給を頂きたいのですが!!」

「ちょ、 ちょっと待つだがね!! 何がね大変な事って!!」

「怪人のスタンピートです!!」

「すたんぴーと? ってなんだがね?」

「怪人の大量発生です」

「た、 大量発生? それって大変だがね」

「えぇ、 私の故郷は北に有りまして・・・

それで家族の安否を確認する為に北に向かいたいのです!!」

「ちょ、 ちょっと待つだかね!! ウチの在庫は如何するだかね!!」

「在庫と言われましても・・・」

「在庫を捌けなきゃウチは終わりだがね!! 君も露頭に迷う事になるだがねよ!!

家族の心配よりも仕事の心配をするだがね!!」


と指をさす名古屋。


「そうは言いましてもこんな物売れませんよ」

「こんな物って言うなだがね!!」

「液体たい焼きって売れる訳無いじゃないですか

非常食でもこれをセレクトする人は居ないかと」

「ネットの物好きが買うと思ったがねー・・・」

「兎に角今は非常事態なんです」

「非常事態・・・それだ!!」

「え?」

「この非常事態に便乗して

この『非常食液体たい焼き』を配って宣伝にするだがね!!」

「宣伝ですか?」

「これは話題になるだがね、 売名にもなるし」

「は、 はぁ・・・」

「これはビジネスチャンスになるだがね

『非常食液体たい焼き』を北に持って行って

避難所に配って来るだがね、 ついでに家族の安否を確認するといいがね」

「わ、 分かりました・・・」

「上手く行ったら特別手当を弾むだがね、 よろしく頼むだがね」

「・・・失礼します」


営業部長が外に出る。


「これで一安心だがねー・・・」


ほっと一息つく名古屋。

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