第153話【標本採集】

ノギクボ製薬の怪人用のトレーニングルームにて戦闘訓練を行う誠也と鶴瓶。


「二人共、 少しいいかな?」


六頭がやって来た。

怪人の姿から人間に戻る誠也と鶴瓶。


「如何したんだ?」

「北でスタンピートが起きた」

「怪人のスタンピートか、 この国では初めてか?」

「いや二度目だな」

「二度目? それは可笑しいですよ

私の記憶ではこの国でスタンピートが起きた記録は無い

百鬼夜行とかをスタンピートとするのならば話は別ですが」

「いやそう言う事では無く貴女が怪人になった後で怪人のスタンピートが有ったのですよ

政府の対怪人部隊を襲撃したので直ぐに鎮静しましたが」

「政府の対怪人部隊? 何それ初めて聞いた、 誠也君知ってる?」


誠也の方を振り返り話題を振る鶴瓶。


「いや、 聞いた事無いな、 何だそれ?」

「何やら政府の怪人に対して対策を練っているとか」

「それはおいておこう、 それでそのスタンピートに乗じて研究資料を集める

と言う事なのか?」

「誠也君の認識で合っている、 貴方方二人には北に飛んで貰い

怪人を捕獲しサンプルとして回収して来て貰いたい

大麻の怪人である誠也君なら問題無いと判断する」

「簡単に言うな・・・スタンピートって数百匹単位の怪人の出現だろ?

正直厳しいと思うぞ?」

「我々も援護する」

「援護する? 怪人の群れに人間が相手になるのかよ」

「それならば問題無い、 我々には新兵器が有る」

「新兵器?」

「これだ」


六頭は一本の注射器を取り出した。


「我が社で開発したドーピング薬剤『フルスコップ10』だ」

「ドーピング? それはつまり注射するとすげー強くなるって事か?」

「その通りだ」

「・・・・・そんな薬あるなら怪人を造る意味無く無いか?」

「その点は問題無い、 この注射は確かに人間に怪人並の強さを与える

だがしかし長時間の服用は命に関わる

中和剤を5分以内に打たなければ死に至る」

「危険過ぎるな・・・」

「そんな代物まで使うとは・・・怪人の標本採集は絶対失敗出来ないようですね」

「えぇ、 最近の怪人開発には陰りが見え始めている

上層部はサンプルを回収して一気に巻き返ししようと目論んでいます」

「ふん、 上が如何考えようとやる事は怪人の捕獲、 ならやるしか無いだろう」

「そうね、 怪人の開発が中止されたら困るのは私達だしね」

「では付いて来てくれ北に向かうヘリの準備は出来ている」

「分かった」


六頭に付いて行く鶴瓶と誠也。

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