第149話【三葉虫】

変身する夢宮。

その姿は普段の物とは余りにも違かった。

その姿は大きな三葉虫、 擬人化されていない眼の前の大きな蛙と同じく

飾り気のない姿である。


夢宮は自分の姿に困惑したが怒りや憎悪が増して眼の前の怪人相手に突っ込んで行った。


美鈴は吹っ飛ばされたが飛び上がれる強靭な足腰を使って踏ん張り投げ飛ばした。

夢宮はなすが儘に投げ飛ばされたがダメージはまるで無かった。

強固な甲殻が彼の身を守っていたのだ。

美鈴は拳を叩きつけたがそれも効果が無かった。

そして夢宮の攻撃は徐々に美鈴の体力を削って行った。

次々と体当たりをしてダメージを与える続ける夢宮。

しかしここで美鈴も反撃に転じた。


大口を開けた美鈴は舌を伸ばして夢宮を捕食しようとした。


『丸呑みにするつもりか!!』


夢宮は舌を的確に避けていく。

丸呑みにされて胃液で消化されてしまえば甲殻も無意味である。

胃液に甲殻が耐えられるのかも怪しい。

ここは回避するのが無難と逃げ回る夢宮。


『だが逃げているだけじゃない』


森の中の木の一本を圧し折って美鈴に倒す。

美鈴は舌を思い切り伸ばして当てて逆に夢宮の方に木を押し倒す。


『くっ・・・』


甲殻により相変わらずノーダメージだったが衝撃は来るし

行動もしにくくなる、 その隙を突いて舌を伸ばす美鈴。

舌が夢宮にくっつき素早く口の中に入る。

丸呑みにする美鈴だったが、 美鈴は驚愕した。

今丸呑みにした夢宮がまだ目の前に立っていた。

いや三葉虫なのだから立っていると言うよりも這っていると言った方が正確なのだろうか?

何れにせよ今飲み込んだはずなのに、 まだその場にいる。


『・・・・・・・もういちどたべられる!!』


ポジティブな考え方をする美鈴。


『まだ食べる気か、 食いすぎだぞ!!』


夢宮は食べ過ぎを指摘する。

因みに先程丸呑みにしたのは舌が体に触れた瞬間に脱皮した外殻のみである。


そして美鈴は再度舌を伸ばす

しかし伸ばされた舌を掻い潜り突っ込んで行く夢宮。


『!?』

『一度出した舌は戻さなきゃならない!!』


その間に叩こうと言うのだ。

大慌てで舌を戻す美鈴、 その間一秒に満たない。

だがその一秒の間に夢宮は美鈴の体に凄まじいスピードで突っ込んで体にめり込む程の

体当たりを喰らわせたのだった。

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