第148話【無辜の民】

盗んでいない自分のバイクで走り出す夢宮。

後を追いかける美鈴。


「ほらほらこっちだ化けガエル!!」


ぴょんぴょん飛び回りながら後を追いかける美鈴。


「!!」


後ろからの舌の攻撃を何とか躱しながら逃げる夢宮。


「くっそ・・・ん?」


ヘリコプターが美鈴の後ろから迫っている。


「何だ・・・」


ヘリコプターにはギョロ目が描かれていた。


「あれは・・・何処かのテレビのキャラクター・・・だったか? 報道ヘリ?」





一方その頃、 サングラスだったオッサンの事務所では


『御覧下さい!! 今勇敢なバイカーが自らの危険も省みず

大蛙を街から引き離しています!! この勇敢さに私、 一条も感動を覚えます!!』

「オジキ、 このバイカーって・・・」

「さっきの兄ちゃんだな・・・男だな・・・」


男泣きするオッサン。


「俺達・・・何かしなくて良いのかな?」

「何も出来ない・・・何と無力だ、 やーさんが無力って何の冗談だよ」

「無辜の民って奴っすね」


パンチパーマが言う。


「多分違うと思うぞ・・・」

「だがあれこそ男って奴だと俺は思うぞ、 任侠映画を見ているみたいだ」

「任侠映画・・・見た事無いっすね」

「今はやってないからな・・・しかたねぇよ・・・

頑張れよ兄ちゃん」

「うん・・・」




そして倉庫街のコンテナの中でも携帯電話のワンセグを通して放送を見ている味醂。


「美鈴・・・」


目を伏せて思いを馳せる。

今までの事を思い出す。

初めて美鈴が立った時の事。

自分達のチームの事、 様々な思いが交錯する・・・


「任せたぞ、 78・・・」


味醂は祈った、 祈る事しか出来ない自分に歯がみしながら。




そして場面は戻り夢宮はバイクを走らせていた。


「そろそろ頃合いかな・・・」


バイクを思い切り右に切って山の中に突っ込んで行った。

美鈴もその後を追って来る。

木の間をバイクで走る夢宮

その後ろを木々をなぎ倒しながら向かって来る美鈴。


「取材ヘリも捲けたようだし、 そろそろやるか・・・」


バイクから飛び降りて美鈴に向き合う夢宮。

怪人化を試みる。


「う・・・」


体中に怒りと憎悪が満ちるのを感じる。

怪人を殺したくて仕方ない感触が体を包み込む。


「丁度良い、 目の前の君に全てぶつけさせて貰おうか」


そして変身する夢宮、 しかしその姿はあまりにも・・・・・

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