12thSEASON

第138話【欲求不満】

季節は本格的な冬の季節、 クリスマスや年末に向けて街がざわつき始めた頃。

夢宮はイライラしながら一人で小倉街を歩いていた。


青蘭市の怪人出現の情報をキャッチした

夢宮は怪人についての情報を探し回っていた。

結果は空ぶりで怪人の情報が掴めなかった、 廃工場の爆発事故も有ったが

調べても怪人の事は分からなかった、 現場に行っても冬も近いのに季節外れの大きな向日葵が

咲いている事以外に収穫は無かった。


夢宮はイライラしていた、 もうだいぶ前から怪人を殺せていないのである。

怪人に対する怒りを内包した彼にとってはストレスが溜まっていた。

早く怪人を殺したい、 その思いで一杯だったのである。

そのイライラが顔に出ているのか、 道行く人に避けられるので有った。


しかし夢宮はそんな事にも気を寄せず、 一人で街を探索しているのである。

この小倉街では最近行方不明者が急増しているのである。

怪人の仕業かもしれないと単身この街に乗り込んで行ったのだった。


と言うのも怪人絡みの事件が少なくなっているのだ。

政府の新しい戦闘部隊もあるのだし怪人達も大人しくしているのだろうか。

偶に怪人が出てもすぐにやられてしまう

怪人が大人しいのならそれに越した事は無いと思っていた夢宮だったが。

怪人を殺せない状況でそんな大人の対応は出来なくなった。


「あー・・・イライラする」


怪人を殺せない事に強いイライラを感じる夢宮。


「今日も行くか・・・」


イライラ解消の為に裏路地に入る夢宮。

少し前までは裏路地には柄の悪い者が屯していた。

しかし夢宮がボコボコにしてしまった為、 裏路地には人が居なくなってしまった。

不良等の柄の悪い者達を殴ってイライラを改称しているのだが

所詮は代替行為、 満たされるはずも無くイライラは募っていたのだった。


「・・・今日は誰も居ないのか」


肩を落として裏路地を出ようとする夢宮。

しかしドンと擦れ違いざまにぶつかった。


「すみません」

「すまんで済むかぁ!! ワレ!!」


ぶつかって来た男はパンチパーマでサングラスをしていた。

所謂本職の方であった。

そして夢宮の襟首を掴んで来た。


「いや、 悪かったですって」

「はぁ!? 悪いで済んだら警察は要らんのじゃ!! 事務所に来い!!」

「・・・・・」


イライラでむしゃくしゃしていた夢宮は

大人しく事務所に付いて行く事にしたのだった。

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