第139話【嵐】

パンチパーマに連れられて事務所にやって来た夢宮。

オールバックの壮年の男性が夢宮を睨む。


「何だその餓鬼は」

「さっきこいつぶつかって来たんですわぁ」

「悪いと言った筈ですが」

「それならそれなりの誠意という物を見せて貰わなにゃあ・・・」

「恐喝ですか? では抵抗しましょう拳で」

「上等だ!! 本職の怖さ思い知らせて・・・」


パンチパーマを殴り飛ばす夢宮。


「こ、 近藤!!」

「が・・・がぁ・・・く・・・」


パンチパーマが倒れる。


「やろぉ!!」


オールバックが懐からドスを取り出して突っ込んで来る。

夢宮はドスを蹴り上げて圧し折った。


「・・・・・」


オールバックはドスを落した。


「う、 うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


そしてそのまま殴りかかって来た。


「退屈しのぎにもならないな・・・」


心底退屈そうに欠伸をする夢宮。

そして掌底を喰らわせて吹き飛ばす。

衝立が倒れてぐしゃぐしゃになる事務所。


「うるせぇと思ったら・・・何の騒ぎだ?」


奥からサングラスをかけた男が現れる。


「お、 オジキぃ!!」

「貴方が責任者ですか?」

「そうだが・・・お前達、 何してんだ?」

「・・・はひ・・・へまりました・・・」

「・・・・・はぁ・・・すまんな兄ちゃん

最近、 色々とあってな、 集りとかしなきゃならねぇんだ」

「まぁこっちもむしゃくしゃしてましたし、 良いですよ」

「・・・・・これを兄ちゃんがやったのか?」


パンチパーマとオールバックの二人を見て尋ねるサングラス。


「えぇ・・・まぁ」

「この二人には事務所を任せている

そこらの喧嘩が強いだけの素人には負けないんだが・・・

兄ちゃんも本職か?」

「そもそも本職って?」

「・・・・・やの付く仕事かって事だよ」

「・・・付かないですね、 強いて言うなら旅人、 風来坊」

「お・・・おう・・・むしゃくしゃしていたって言ってたよな?

ちょっと良い話が有るんだが聞いて行かないか?」

「非合法的な話なら断るよ」

「揉め事だから非合法的なかぁ・・・まぁ一応聞いてみてくれないか?」

「まぁ、 聞くだけ聞いてやるよ、 暇だしね

でもこんな所で話も何だから場所を移さない?」

「だな・・・こんなぐしゃぐしゃの事務所じゃあなぁ・・・

まるで台風一過だ・・・おめーら、 俺が帰って来るまでに直して置け」

「へ、 へーい・・・」

「わ、 わかりやした」


オールバックとパンチパーマが掠れそうな声で返事をする。

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