第137話【大爆発】

潰れた葵の頭から脳漿が滴り落ち、 下に居る興亜に当たる。


「う・・・あ・・・」

「・・・・・あ・・・あ・・・」


頭が崩れた葵は興亜に向かって口を動かした。

声は出なかったが口は「あいしてる」と動き、 そして葵は倒れた

興亜は倒れた葵を抱きしめた。


「うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


絶叫、 喉が裂けんばかりの慟哭が周囲を満たした。


「ああああああああああああああああああ!!!」

『・・・・・葵の死体を回収してさっさと行こう』

『あぁ、 そうだな、 さっさと』


ドコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

と興亜の慟哭に負けない轟音が鳴り響いた。


『う、 うわあ!?』

『な、 何!?』


廃工場内が爆発をしている。

如何やら内部の炎が何かに引火したらしい。


『や、 やべえ!!』


誠也は屋根の上から飛び降りた。


『ちょ、 ちょっと運ぶの手伝っ』


ってと言おうとした瞬間に更に大きい爆発で壁の一部が吹っ飛んだ。


『ここはヤバい!! とっとと逃げるぞ!!』

『~~~っ!! 畜生!!』


鶴瓶と誠也はその場から急いで退却した。

周囲に張っていたノギクボ製薬の者達も

爆発を聞きつけて来る警察や野次馬を警戒して

早急に逃げていった。







「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


爆発を起こしながら未だに絶叫していた興亜。

口から血を吐きながらも葵を抱きしめ続けていた。

ぐちゃり、 と葵の体が溶け始め興亜の体を包み始めた。


「あ・・・あ・・・・・」


興亜の体も融解して一つになっていった。

溶けあった一つになった二人の体は地面に染み渡り

地中の奥深くに根付いたのだった。

この根は後にそれはそれは美しい向日葵を咲かせるのだが

今は関係が無いので置いておこう。

二人に起こったのは如何なる事象か? それは科学的には説明が付かないだろう。

しかしこの事象に名前を付けるのならば、 愛の奇跡と言わざるを得ないだろう。





愛の奇跡とは対照的にノギクボ製薬に戻った誠也と鶴瓶は報告書を書き

葵が死んだと言う解釈となった、 六頭は葵の攻撃で死亡しているが

六頭を始めとしたノギクボ製薬の裏側の警備部で働く者達の多くは

戸籍が抹消されている為、 六頭からノギクボ製薬には繋がらないだろう。

事件は六頭が廃工場に突っ込み、 工場に残っていた化学薬品が爆発した。

と言う調査結果が報告されたのだった。

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